特発性肺線維症(IPF)の予後予測モデルにGAPモデルがありますが、今回このGAPモデルに6分間歩行試験の歩行距離と労作時低酸素血症を加えた改訂版GAPモデルが報告されました。
一言解説
従来のGAPモデルに運動パラメーターとして6分間歩行試験や労作時低酸素を組み込むことで、予後予測能が向上した。
さらに詳しく解説(専門的な内容です)
背景
特発性肺線維症(IPF)のベースライン死亡率予測モデルとして、性別-年齢-生理機能(GAP)指数が報告されている。しかし、GAP indexは6分間歩行距離(6MWD)や労作性低酸素症などの運動能力パラメータを組み込んでいない。
研究目的:GAP indexに6MWDと労作性低酸素症を加えることで、IPFの生存予測が改善されるかどうかを評価した。
- 6分間歩行試験の歩行距離:250m未満
- 労作時低酸素血症:酸素療法もしくは6分間歩行試験でSpO2 88%未満
結果
内部コホートでは、562人のIPF患者が登録された。オリジナルのGAP indexの予後識別性は、C統計量0.676(95%CI 0.635〜0.717)であった。
6MWDと労作時低酸素症は、死亡を強く予測する変数であった。これらの変数をGAP indexに追加することで、モデルの予後識別性が有意に改善した。
運動能力パラメータを組み込んだ改訂版GPA indexが構築され、内部検証セットで良好な結果を示した(C-statistic: 0.752; 95% CI 0.701 to 0.802, 改訂版GAPindexと比較したC-statisticの差: 0.050; 95% CI 0.004 to 0.097)。さらに、外部検証コホート(N=108 (C-statistic: 0.780; 95% CI 0.682 to 0.877) )で良好な結果が得られた。
運動能力因子をGAPモデルに組み込んだ改訂版GAPモデル(DO-GAP)は、IPF患者の予後予測能を向上した。