膠原病に伴う間質性肺疾患の有病率、生存率、膠原病以外の間質性肺疾患との生存率の比較がデンマークから報告されました。
一言解説
デンマークからの報告では膠原病に伴う間質性肺炎の予後は膠原病によって差はなく、また膠原病以外の間質性肺炎と同等の予後であった。
さらに詳しく解説(専門的な内容です)
目的
間質性肺疾患(ILD)は膠原病(CTD)患者の生存率低下と関連しているが、異なるCTDサブタイプにおけるILDおよび肺高血圧症(PH)の頻度や生存への影響に関する集団ベースのデータは様々である。
方法
2000年から2015年の間にデンマーク国立患者登録に登録された、全身性強皮症(SSc)、混合結合組織病(MCTD)、筋炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、シェーグレン病のICD-10初回診断の患者を対象とした。
これらのうち、ILDとPHを有する患者を特定した。
Kaplan-Meier分析を用いて、CTD±ILDの5つのサブタイプの生存率を評価し、CTD患者全体±ILDの生存率を一般集団±ILDの生存率と比較した。
結果
CTDと診断された11,731人の患者を同定し、637人(5.4%)がILDと診断された。
ILDを持つ患者の割合は、筋炎(6.0%)、SLE(4.1%)、シェーグレン(2.8%)よりもSSc(13.4%)とMCTD(9.1%)で高かった。51%は50代と60代でILDと診断された。
PHはSSc(7.5%)とMCTD(4.1%)でより頻繁にみられた。
5年生存率は、SSc-ILDで73.3%(66.7-80.6)、MCTD-ILDで81.0%(69.0-95.1)、筋炎-ILDで84.7%(77.3-92.9)、SLE-ILDでは83.5%(76.2-91.5)、シェーグレン-ILDでは84.7(78.4-91.6)であった。
CTD-ILD全体の生存率は、CTD単独と比較して、すべての年齢層で低下していた。
年齢層別生存率は、CTD-ILDと一般集団のILDの間で同等であった。ILDと非ILDの生存率の差は年齢とともに大きくなった。
<まとめ>
デンマークのデータベースからの検討では、CTDのILD合併率、PH合併率が明らかとなり、CTD-ILDの生存率はCTDのサブタイプ間で類似し、non-CTD-ILDと同等であった。