CYFRA21-1が特発性肺線維症の重要なバイオマーカーである可能性が示唆されました。
一言解説
CYFRA21-1が特発性肺線維症の新たなバイオマーカーである可能性が示唆された。
さらに詳しく解説(専門的な内容です)
背景
特発性肺線維症(IPF)は、進行性で致死的な疾患であり、治療方針の決定に有効なバイオマーカーが不足している。
目的:Prospective Observation of Fibrosis in the Lung Clinical Endpoints(PROFILE)研究に登録されたIPF患者におけるCYFRA21-1の血清濃度と疾患進行および死亡率の関係を明らかにすること。
方法
CYFRA21-1は、手術時に得られたヒト肺のサンプルにおいて、免疫組織化学によって同定された。
CYFRA21-1の濃度は、PROFILE研究に登録されたIPFと診断された491人と100人の対照者からベースライン、1カ月、3カ月に採取した血清試料で、ELISAベースのアッセイを用いて測定された。
被験者は、最初の採血後、最低3年間追跡された。
結果
CYFRA21-1は、IPF肺組織のhyperplastic epitheliumに局在していた。
末梢血CYFRA21-1濃度は、discovery cohort(n = 132)(対照:0.96 ± 0.81 ng/ml vs IPF:2.34 ± 2.15 ng/ml、P < 0.0001) およびvalidation cohort(n = 359)(対照:2.21 ± 1.54 ng/ml vs IPF: 4.13 ± 2.77 ng/ml, P < 0.0001) において健康対照被験者よりもIPFの被験者で著しく高値であった。
ベースラインのCYFRA21-1濃度は、12カ月間の疾患進行リスクのある患者を区別することができ(C統計量 0.70;95%CI 0.61-0.79;P < 0.0001)、全死亡を予測した(CYFRA21-1の1ng/ml増加あたりHR 1.12、95%CI 1.06-1.19;P = 0.0001 )。
さらに、CYFRA21-1の3カ月間の濃度変化は、両コホートにおいて、12カ月生存率と全生存率を別々に予測した。
<まとめ>
上皮の損傷とターンオーバーのマーカーであるCYFRA21-1は、IPFのhyperplastic epitheliumに発現し、重要な予後および治療バイオマーカーとなる可能性がある。