PF-ILDの頻度と予後との関係(日本)

間質性肺炎の中には線維化が進行する一群がありPF-ILDとして注目されています。日本のコホート研究からPF-ILDを認める頻度や予後との関係を述べた研究が報告されました。

Takei R, Brown KK, Yamano Y, Kataoka K, Yokoyama T, Matsuda T, et al. Prevalence and prognosis of chronic fibrosing interstitial lung diseases with a progressive phenotype. Respirology 2022.

一言解説

特発性肺線維症以外の間質性肺炎の4人に1人が線維化が進行性に悪化し(PF-ILDを満たし)、さらにそのPF-ILDを満たした場合は特発性肺線維症と同等に予後不良な経過をたどる可能性がある。

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さらに詳しく解説(専門的な内容です)

背景

間質性肺疾患(ILD)は線維化が進行性に悪化する一群があるが、その有病率や予後に関するデータは限られている。

方法

線維化性間質性肺疾患(FILD)の連続症例を分析した。

患者は、最初の24ヶ月間のフォローアップで進行性の線維化について評価された。進行性線維化の定義は以下のいずれかを満たす場合に定義。

  • FVCの相対的低下10%以上
  • FVCの相対的低下5%以上10%未満かつDLCOの相対的低下15%以上、HRCT上の線維化の増加、症状の進行のうち、少なくとも1つが認められる場合

結果

844名の患者(IPF 397名、non-IPF FILD 447名)が最終解析コホートに含まれた。

350人(42.1%)が進行性表現型の基準を満たした(IPF患者の59.4%、non-IPF FILD患者の26.6%、p<0.01)。

(図. 間質性肺炎のタイプごとの進行性線維化を認める頻度。文献より引用掲載)
IPFとnon-IPF FILDの両群方で、進行性線維化を満たす患者と満たさない患者で無肺移植生存期間に差があった(p<0.01)。

(図. 進行性線維化の有無でのIPF vs non-IPF FILDの無肺移植生存曲線。文献より引用掲載)
多変量解析では、進行性線維化は無肺移植生存の独立した予測因子であった(HR 3.36、95%CI 2.68~4.23、p<0.01)。さらに無肺移植生存率は、進行性表現型を持つnon-IPF FILDとIPFの間で差がなかった(HR 1.12、95%CI 0.85-1.48、p = 0.42)。

<まとめ>

日本のコホート研究で、non-IPF FILDの約25%が進行性の線維化をきたすのに対し、IPFでは約60%であった。さらに、進行性の線維化をきたすnon-IPF FILDはIPFと同様の進行をたどる予後不良な一群である可能性がある。

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