肺のランゲルハンス細胞組織球症に関するフランスからの報告です。10年生存率は93%と大変良好な成績であることを報告しています。
一言解説
肺のランゲルハンス細胞組織球症状に関する研究がフランスから報告され、10年生存率は93%と大変良好な結果であった。
さらに詳しく解説(専門的な内容です)
背景
成人の肺ランゲルハンス細胞組織球症(PLCH)の長期成績、特に生存率はほとんど不明である。先行する2件のレトロスペクティブスタディでは、死亡率が高いと報告されており、我々の臨床経験とは対照的である。
方法
この問題に対処するため、2004年から2018年の間にthe French national reference centre for histiocytosesに紹介された新規診断PLCHの全患者を組み入れる対象とした。
主要アウトカムは生存率とし、組み入れから肺移植または何らかの原因による死亡までの期間と定義した。
副次的アウトカムは、最初に分離されたPLCHにおける慢性呼吸不全(CRF)、肺高血圧(PH)、悪性疾患、肺外病変の累積発生率などであった。生存率はKaplan-Meier法を用いて推定した。
結果
206人の患者(平均年齢39±13歳、60%が女性、95%が現在喫煙者)が、中央値5.1年(IQR 3.2-7.6年)の間、前向きに追跡調査された。このうち、12人(6%)が死亡した。
10年後の推定生存率は93%(95%CI 89-97%)であった。
CRFおよび/またはPHの累積発生率は、5年と10年の両方で5%未満であり、これらの患者の58%が死亡した。
23人の患者に27の悪性腫瘍が観察された。肺癌の推定標準化発生率は、年齢と性をマッチさせたフランス人集団と比較して、17.0(95%CI 7.45-38.7)であった。
孤立性PLCH患者157人のうち8人(5.1%)が肺外病変を発症した。
<まとめ>
PLCHの長期予後は10年生存率93%と、これまでの報告よりも有意に良好である。重篤な合併症を早期に発見するために、診断後は患者を注意深く観察する必要がある。