間質性肺炎の代表的な画像所見はUIP(通常型間質性肺炎)パターンやNSIP(非特異性間質性肺炎)パターンですが、この両者の鑑別は決して容易ではありません。
一言解説
間質性肺炎の画像所見でNSIPパターンを呈しても、約40%は病理所見でUIPパターンを呈することがあり注意を要する。
さらに詳しく解説(専門的な内容です)
目的
病理学的に診断された非特異性間質性肺炎(NSIP)患者における胸部CT所見を評価し、病理診断や予測死亡率などの特発性肺線維症(IPF)分類ガイドラインとCTパターンの相関を検討すること。
方法
本研究では、
(a)病理診断で特発性NSIP(n=39)または
(b)病理診断で通常の間質性肺炎(UIP)のIPF(n=75)
と診断された114人の患者を対象とした。
独立した2つの観察者グループが、さまざまなCT所見の範囲と分布を評価し、5つのパターンを特定した。
- UIP、possible UIP、indeterminate(UIPまたはNSIPのいずれか)、NSIP、alternative diagnosisを示唆の5つのパターンを確認した。
CT所見と病理診断および臨床所見からの転帰をlog-rank検定およびKaplan-Meier曲線を用いて比較した。
結果
全体では放射線医は17例をUIP、24例をpossible UIP、13例をindeterminate(UIPまたはNSIPのいずれか)、56例をNSIPと分類した。
病理学的なUIPの75例
→画像読影:UIP 16、possible UIP 23、UIPorNSIP 12、NSIP 21、alternative 3
病理学的なNSIPの39例
→画像読影:UIP 1、possible UIP 1、UIPorNSIP 1、NSIP 35、alternative 1
- CTのUIP、possible UIP、indeterminate、NSIPの患者の平均全生存期間は、それぞれ33.5、73.0、101.0、140.2カ月であった。
- CTでUIPと診断された患者の転帰は、possible UIP、indeterminate、またはNSIPのパターンを持つ患者の転帰より有意に悪かった(ログランク検定:それぞれP = .013、P = .018、P < .001)。
<まとめ>
画像NSIPパターンと診断した56例うち、病理UIPパターンであったのは21例(38%)であった。
リンク
(最終アップデート:2022年05月14日)