全身性強皮症に伴う間質性肺炎に対するニンテダニブの効果が明らかとなりました(SENSCIS試験についてはこちらもご覧ください⇒強皮症に伴う間質性肺疾患に対するニンテダニブの効果(SENSCIS試験))。抗トポイソメラーゼⅠ抗体、皮膚硬化の程度、強皮症のタイプによって効果の違いがあるのかを検討した後解析が報告されています。
一言解説
全身性強皮症に伴う間質性肺炎に対するニンテダニブの効果は、強皮症のタイプによって差がないことが明らかとなった。
さらに詳しく解説(専門的な内容です)
目的
SENSCIS試験のデータを用いて、SSc-ILDの進行に関連すると以前に特定された特性に基づき、全身性強皮症に伴う間質性肺疾患(SSc-ILD)患者のサブグループにおけるニンテダニブのプラセボに対する効果を評価するために、これらの解析を実施した。
方法
SSc-ILD患者を、抗トポイソメラーゼⅠ抗体(ATA)の有無で層別化し、ニンテダニブまたはプラセボのいずれかを投与する群に無作為に割り付けた。
ベースラインのATAの状態、modified Rodnan skin thickness score(MRSS)(<18対≧18)、SScサブタイプ(限局性皮膚硬化型SSc[lcSSc]対びまん性皮膚硬化型SSc[dcSSc])に基づくサブグループで、52週間のFVC(ml/yearで表示)の低下率を評価した。
結果
ベースライン時、ニンテダニブまたはプラセボによる治療を受けた576人の患者の60.8%がATA陽性、51.9%がdcSSc、MRSSデータが入手できた574人の患者の77.5%がMRSS<18であった。
FVC減少率(ml/年)に対するニンテダニブ対プラセボの効果(FVC減少率 調節後)。
- ATA陽性 29.9ml/ 年[95%CI -19.1~78.8](NTD -63.6ml vs PCB -93.5ml)vs ATA陰性 57.2ml/年[95%CI -3.5~118.0](NTD -35.9ml vs PCB -93.1ml)
- MRSS≥18 88.7ml/年[95%CI 7.7, 169.8] vs MRSS<18 26.4ml/年[95%CI -16. 8, 69.6])
- dcSSc患者 56.6ml/year[95% CI 3.2, 110.0] vs lcSSc 25.3ml/year[95% CI -28.9, 79.6])
しかし、探索的相互作用のP値はすべて有意ではなく(すべてP>0.05)、これらのサブグループ間のニンテダニブ対プラセボの効果に異質性はないことが示された。
<まとめ>
SSc-ILD患者において、ニンテダニブ投与患者プラセボ投与患者に対する効果は、ATA陰性、MRSS≥18、dcSScでよりFVC低下を抑制する傾向にあったが、統計学的にはサブグループ間で有意差は認めなかった。