様々な間質性肺炎で、ある一定の割合で線維化が悪化し、予後不良な経過をたどる一群が存在し、これらを進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD;progressive fibrosing interstitial lung disease)と呼ぶようになりました。
この一群の患者さんに対して、抗線維化薬であるニンテダニブ(オフェブ)の有効性が報告され、保険診療として使用できるようになりました。
ではこのような進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)を満たす患者さんがどの程度存在するのか。2017年に国際的なアンケート調査が行われました。
アンケート対象は世界中の医師486人で、日本からも80人が参加しています(その他はアメリカから203人、ドイツから41人、フランスから41人、イギリスから41人、イタリアから40人、スペインから40人の参加です)。これら参加者のうち、呼吸器内科医は243人、膠原病内科医が203人、内科医が40人でした。
これら医師にどの程度の割合の患者が進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)を満たしうるか、アンケートを取った結果です。
- RA-ILD 26%
- SSc-ILD 31%
- Other CTD-ILDs 24%
- iNSIP 32%
- Unclassifiable IIP 29%
- HP 21%
- Sarcoidosis-ILD 20%
- Other non-IPF ILDs 18%
(略語の意味)
RA-ILD:関節リウマチに伴う間質性肺炎
SSc-ILD:全身性強皮症に伴う間質性肺炎
Other CTD-ILDs:その他膠原病に伴う間質性肺炎
iNSIP:非特異性間質性肺炎
Unclassifiable IIP:分類不能型間質性肺炎
HP:過敏性肺炎
Sarcoidosis-ILD:肺サルコイドーシス
Other non-IPF ILDs:その他特発性肺線維症以外の間質性肺炎
いずれの疾患も、おおむね20-30%程度の割合で進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)を満たしうると考えているようです。しかし、これはあくまでアンケート調査の結果である点は注意が必要です。