現在新型コロナウイルス感染症で着目されているインターロイキン6(IL-6; interleukin-6)ですが、特発性肺線維症(IPF)の病態に関与している可能性が指摘されています。
2003年に報告された報告ですが、健常肺、特発性肺線維症(IPF)がインターロイキン6(IL-6)に曝露した結果、健常肺では線維芽細胞の増生は抑制され(a)、特発性肺線維症ではむしろ線維芽細胞の増生が惹起されています(b)。
この線維芽細胞(fibroblast)は、肺の線維化の基礎となる細胞です。本研究の結果からは、特発性肺線維症においてインターロイキン6は線維芽細胞の増生を惹起し、病態形成に寄与している可能性が示唆されました。
さらには基礎のデータではありますが、アクテムラ(TCZ:Tocilizumab、インターロイキン6の受容体に対する抗体で、炎症のもととなるインターロイキン6の働きを抑制する薬剤)による特発性肺線維症の線維化の抑制が期待されています。
インターロイキン6と肺の線維化の関係はまだ明確ではありません。しかし、もしかしたら、同じような病態が新型コロナウイルス感染後の肺にも起こっているかもしれません。(あくまで私見です)