間質性肺炎の一つに過敏性肺炎(hypersensitivity pneumonitis; HP)という疾患があります。
過敏性肺炎は、なんらかの抗原を繰り返し吸入することで免疫学的な反応により生じる間質性肺炎ですが、
- 抗原の種類
- 曝露状況
- 発症形式
は様々であり、さらに、臨床的な経過も不均一な疾患です。
過敏性肺炎の原因物質にはこれまで多くの抗原が指摘されてきました。例えば、
- 微生物:真菌、カンジタなどの酵母、食用キノコ、バクテリア、ダニなどの原生動物
- 羽毛などの動物性たんぱく質、植物タンパク質
- 化学薬品や医療品、ベリリウムなどの金属
などが過敏性肺炎を生じうる抗原として挙げられています。これら抗原は患者の趣味や生活環境、ペット、国や地域、文化、季節など様々な影響を受けますが、実際には約100種類以上存在するともいわれています。
過敏性肺炎の原因となり得る抗原のうち、問診で聴取すべき抗原曝露のエピソードを、世界中の36名の専門医にアンケートをとった結果が2020年に報告されました。以下記事にまとめていますのでご参考ください▼
また、American Thoracic Society(ATS)、Japanese Respiratory Society(JRS)、Asociacion Latinoamericana del Torax(ALAT)の各学会の多分野専門医(呼吸器科、職業環境医学、放射線科、病理等)と患者が参加する委員会から、2020年に過敏性肺炎の診断ガイドラインが初めて発表されました。
今後はこれに基づく様々な報告が増えることと思いますし、なによりこれまで国際的に統一された診断基準がなかった過敏性肺炎において、大きな一歩であると思います。
ガイドラインの内容に関しては以下の記事もご覧ください▼