重症喘息に対する気管支サーモプラスティの長期データ

気管支喘息の治療の一つに気管支サーモプラスティ(BT; bronchial thermoplasty)があります。

 

気管支サーモプラスティは、重症喘息を治療するための気管支鏡下の手技の一つであり、高周波電流により気管支壁を加熱することで、気管支平滑筋を減少させ、喘息発作を抑える効果が期待されています。

 

今回、この気管支サーモプラスティを行った患者の長期的な観察データをまとめた研究がLancet Respir Medに報告されました。

Chaudhuri R, et al. Safety and effectiveness of bronchial thermoplasty after 10 years in patients with persistent asthma (BT10+): a follow-up of three randomised controlled trials. Lancet Respir Med 2021;9:457–66.

 

 

この研究では、気管支サーモプラスティの過去の3つの試験(AIR trial、AIR2 trial、RISA trial)に登録された患者を対象に、10年以上の観察期間を経て、気管支サーモプラスティの効果と安全性を調査しています。

 

 

結果

対象と観察期間

気管支サーモプラスティを施行した260例のうち5年後のフォローができたのが216例、さらにその後10年後のフォローができた136例を対象

    • 5年→10年で63例が除外(注意):44例:フォロー困難、16例:同意なし、3例:死亡

観察期間中央値:12.1年(10.8-15.6年)

 

気管支サーモプラスティ施行10年後の結果

気管支サーモプラスティを行った10年後でも、

  • 重症の喘息発作の頻度
  • QOLや喘息のコントロール状態
    • AQLQ; asthma QOL questionnaire
    • ACT; asthma Control Questionnaire
  • 肺機能

において、気管支サーモプラスティ施行1年後、5年後と比較して変わらない結果であった。

 

懸念された気管支拡張症は?

さらに、気管支サーモプラスティ時にCTで気管支拡張を認めなかった89例のうち、新たに気管支拡張を認めたのは6例(7%、mild 5例、moderate 1例)であった。

 

 

 

<まとめ>

気管支サーモプラスティを施行したのち、10年の経過をみても、喘息発作の頻度やQOL、肺機能が維持できていることが明らかとなった。さらにCTで新たに気管支拡張を認めたのは全体の7%程度であった。

 

にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ 

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!