間質性肺炎の病歴において、家族の方が間質性肺炎を指摘されているかどうか、いわゆる家族歴の有無は大変重要な問診です。今回、この家族歴のある間質性肺疾患の家族にHRCTを用いたスクリーニングを実施し、肺の影の評価を行った研究結果が報告されました。
家族歴肺線維症のリスクを有する親族では、軽微な間質影であっても進行する可能性が示唆されました。
背景と目的
■家族性肺線維症(FPF)患者の親族はFPFを発症するリスクが高い。
■肺の異常(ILA)は無症候性疾患の放射線学的バイオマーカーとされるが、非常に軽微な異常の意味は不明。
■目的:Fleischner Societyが定義するILAの基準に満たない異常を有するFPF親族における進行リスクを定量化し、観察中に新たに発生または進行したILAを有する参加者の特徴を記述すること。
方法
■無症候性FPF親族を対象にHRCTを用いた定期的なスクリーニングを実施。
■親族:家族性肺線維症(FPF)の患者と血縁関係にある第一度近親者。
■初期ILAは、肺区域の5%未満の異常を含む軽度(mild)と5%以上の異常を含む中等度(moderate)に分類。
■進行の定義:HRCTで新たに出現または進行したILA、あるいは呼吸器専門医に診断された臨床的FPFの発症。
結果
■対象は2008年から2023年に追跡調査に参加した273人。
■登録時の平均年齢が53.2±9.4歳、35%が男性、27%が喫煙経験者。
■平均6.2±3.0年の追跡期間。
■進行の割合:登録時にILAがない211人のうち31人(15%)、軽度ILA 49人のうち32人(65%)、中等度ILA 13人のうち10人(77%)。
■軽度ILAを有する被験者は、ILAがない被験者に比べ進行のオッズが9.15倍(95%信頼区間4.40-19.00; P < 0.0001)、中等度ILAでは17.14倍(95%信頼区間4.42-66.49; P < 0.0001)であった。