間質性肺炎のBALと画像所見の関係(Chest. 2024)

間質性肺炎の精査の一つにBAL(気管支肺胞洗浄)があります。気管支鏡で行う検査の一つであり、肺にどのような細胞が存在するかを調べるための検査です。

★間質性肺炎の検査に関する概要はこちらの記事もご覧ください。

今回、間質性肺炎のBAL細胞解析と画像所見の関連を調べた研究結果が報告されました。BAL細胞解析は画像所見と相関せず、診断との関連も見出されなかったようです。

BALは重要な検査の一つではありますが、BALリンパ球増多の解釈は非常に難しい問題があります。手技および解釈の標準化が望まれます。

引用文献:Grant-Orser A, Asmussen M, Marinescu D-C, Hague CJ, Muller NL, Murphy DT, et al. Bronchoalveolar lavage fluid cellular analysis and radiologic patterns in patients with fibrotic interstitial lung disease. Chest 2024.

背景
■気管支肺胞洗浄(BAL)細胞分析は線維性間質性肺疾患(ILD)の診断評価の際に推奨される
■しかし、施設間での違いがあり、臨床的有用性や放射線画像との相関に関するデータは不足している

研究課題
■線維性ILD患者において、BAL所見は放射線画像の特徴や臨床診断と関連するのか?

研究デザインおよび方法
■カナダのレジストリーに登録に登録され診断評価のためにBALを実施した線維性ILD患者でMDDを実施
■BAL閾値:ガイドラインに基づく閾値、およびリンパ球増加率20%以上、好中球4.5%以上の閾値
■臨床データを盲検化した状態でHRCTの特徴と肺の病変率を評価、さらにIPFとFHPに従って分類

結果
■1593人の患者のうち、209人(13%)で気管支鏡および細胞分析が実施
■リンパ球率は線維化と弱い負の相関があった(r = -0.16, P = .023)
■すりガラス陰影とは有意な相関はなかった(r = 0.01, P = .94)
■BALリンパ球増加はHRCTパターンのFHP(21%)およびUIP(18%)で同様の頻度
■MDD診断FHPのうち、単独BALリンパ球>15%は5%のみ

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