喫煙(ニコチン)とサルコイドーシスには深い関係がありますが、今年のCHEST誌にサルコイドーシス患者に対するニコチン治療の研究が報告されています。
対象
18歳以上の疾患活動性のある肺サルコイドーシスの患者50名
- アメリカの2施設で行われた二重盲検ランダム化パイロット研究
- 疾患活動性:症状あり、非陥落性肉芽腫あり、非線維化性の肺病変あり
- PSL≧10mg/dayもしくはその他薬物治療中(MTX, AZP, TNFα阻害薬など)や喫煙者などは除外
このサルコイドーシス患者50名を、
- 24週間のニコチン経皮吸収パッチ(21mg)
- プラセボ
の2群に割付し、26週後の努力肺活量(FVC)の変化(平均値)を比較した(主要評価項目)。
結果
26週後の努力肺活量(FVC)は、
- ニコチン群:+2.1%(+70ml)
- プラセボ群:-2.4%(-70ml)
の変化を認め、ニコチン群でFVCは少し改善し、プラセボ群よりも140mlほどよい結果となるようです。重篤な副作用も報告されていません。
今回の結果はあくまで少数例のパイロット研究ですので、その解釈には注意が必要です。
決して、「本研究結果からサルコイドーシスではタバコがいい!」ということにはなりませんので注意してください。
しかし、ニコチンとサルコイドーシスの免疫応答の関係は少しずつ明らかとなっており、今後のさらなる研究が期待されています。
<まとめ>
サルコイドーシスに対するニコチン治療は忍容性良好で、進行を抑える可能性があるが、さらなる研究を要する。