重症喘息に対する生物学的製剤の選択をどうするか?

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今日はちょっと気管支喘息のお話です。

 

気管支喘息の治療の進歩はすさまじく、従来の吸入薬や内服薬だけでなく、多くの生物学的製剤が開発されてきました。

 

現在、気管支喘息で使用できる生物学的製剤は以下の4つです。

  • 抗IgE抗体:オマリズマブ(ゾレア)
  • 抗IL-5抗体:メポリズマブ(ヌーカラ)
  • 抗IL-5受容体α鎖抗体:ベンラリズマブ(ファセンラ)
  • 抗IL-4受容体α鎖抗体:デュピルマブ(デュピクセント)

 

 

従来の治療で効果不十分な場合、これら生物学的製剤の導入を検討します。これら薬剤の使用方法に関しては、様々な議論がありますが、2020年に使用方法のアルゴリズムの一案が報告されました。

Chan R, et al. Pragmatic Clinical Perspective on Biologics for Severe Refractory Type 2 Asthma. J Allergy Clin Immunol Pract 2020;8:3363–70.

 

このアルゴリズムは、

  • アレルギー素因があるかどうか
  • 末梢血好酸球が300/µL以上かどうか
  • 呼気NOが25ppb以上かどうか

を重視して構築されています。

 

このアルゴリズムを用いた場合、おおよそ、

  • アレルギー素因がある場合
    • 抗IL-4受容体α鎖抗体、抗IgE抗体
      • さらに末梢血好酸球300/µL以上なら抗IL-5抗体、抗IL-5受容体α鎖抗体が選択肢に追加
  • アレルギー素因がない場合
    • 呼気NOが25ppb以上なら抗IL-4受容体α鎖抗体
      • さらに末梢血好酸球300/µL以上なら抗IL-5抗体、抗IL-5受容体α鎖抗体が選択肢に追加
    • 呼気NOが25ppb未満でも末梢血好酸球300/µL以上:抗IL-4受容体α鎖抗体、抗IL-5抗体、抗IL-5受容体α鎖抗体

のような判断となるようです。

 

 

実際の臨床現場では、様々な指標を用いて治療導入を検討しますが、薬剤の種類が多いこともあり、悩ましい場合もあります。一つの指標として参考になるかもしれません。

 

喘息の治療に関しては、2021年10月に「喘息予防・管理ガイドライン2021」が新たに発刊されています。ぜひこちらもご参考にしてください。

喘息予防・管理ガイドライン2021

 

<まとめ>

重症喘息に対する生物学的製剤の使用に関するアルゴリズムが提示された。アレルギー素因の有無、末梢血好酸球数上昇(≥300/µL)、呼気NO高値(≥25ppb)の有無で治療薬の選択を検討することが提案されている。

 

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