全身性強皮症(SSc)に対するトシリズマブ(商品名:アクテムラ)の効果を示した重要な臨床試験であるfocuSSced試験が報告されましたが、その後の96週まで観察した長期データが報告されました。
試験の概要
48週のfocuSSced試験後、プラセボ群はトシリズマブ群に移行が可能で、96週までのmRSSとFVCの経過をフォローした(プラセボ→トシリズマブ群 vs トシリズマブ継続群)。mRSSは両群で差はなかったが、FVCは96週時点まで低下せず維持できていた。
212名のSScのうち、プラセボ→トシリズマブ群の82名、トシリズマブ継続群の85名が96週の試験を完了した(SSc-ILDは104名)。
modified Rodnan skin score(mRSS)の変化
全患者において、48週から96週にかけての両群のmRSS(SScにおける皮膚硬化の評価指標)の変化(平均値)。
- プラセボ→トシリズマブ群:–2.5 (–3.3, 1.6)
- トシリズマブ継続群:–2.3 (–3.2, –1.5)
努力肺活量(FVC)の変化
SSc-ILDにおいて、48週から96週にかけての両群のFVCの変化(平均値)。
- プラセボ→トシリズマブ群:FVC +39.6ml (%FVC +0.9%)
- トシリズマブ継続群:FVC -15.3ml (%FVC -0.4%)
肺拡散能力(DLCO)の変化
SSc-ILDにおいて、48週から96週にかけての両群のDLCOの変化(平均値)。
- プラセボ→トシリズマブ群:%DLCO -3.8%
- トシリズマブ継続群:%DLCO +1.6%
<まとめ>
SSc-ILDに対するトシリズマブは96週まで肺機能(FVC、DLCO)を維持できており、長期的に有効である可能性が示された。