高齢者における間質性肺炎の診断について、米国(ペンシルベニア大学)からの報告です。
Patterson KC, et al. Interstitial Lung Disease in the Elderly. Chest 2017;151:838–44.
背景
高齢者における間質性肺炎の疫学についてはほとんど知られていません。
研究課題:高齢者の間質性肺炎の診断、臨床的特徴、転帰を調査する
方法
米国の前向きコホート研究に登録された患者を対象とした。
高齢者は年齢70歳以上と定義した。
- 診断は多職種によるレビューから得た。
- 高齢者と非高齢者の間の差は、χ2検定と分散分析を用いて決定。
結果
登録された327人のうち、80人(24%)が高齢者であり、高齢者の大多数は白人男性(94%)であった。
高齢者で最も多い診断名は、
- 分類不能型間質性肺炎:45%
- 特発性肺線維症(IPF):34%
- 膠原病に伴う間質性肺炎:11%
- 過敏性肺炎:8%
であった。
さらに、分類不能型間質性肺炎の高齢者のうち
- 74%は、通常型間質性肺炎(UIP)パターンと矛盾する画像パターン(inconsistent with UIP pattern)を有していた
- 59%はデータが不十分または非特異的
- 15%はデータが不一致
- 外科的肺生検を受けたのは20人中1人だけであった。
肺機能および3年死亡率については、非高齢者と高齢者、あるいはIPF患者のサブグループ解析で有意差は認められなかった。
<まとめ>
米国のコホート研究では、高齢者の大多数は非IPFの間質性肺炎であり、分類不能型間質性肺炎が最多であった。
(最終アップデート:2022年5月5日)