瘢痕性器質化肺炎(cicatricial organising pneumonia:ciOP)に関する重要な報告です。
背景
瘢痕性器質化肺炎(cicatricial organising pneumonia:ciOP)は肺の構造破壊を伴わない肺胞腔内の密なコラーゲン線維の沈着が特徴である。線維性間質性肺炎に類似している可能性があるが、患者背景や病因、臨床的意義は不明である。
研究課題:ciOPを伴う線維性間質性肺炎と伴わない線維性間質性肺炎の特徴を比較
方法と結果
病理所見が線維性間質性肺炎であり、経過観察の臨床データが得られた121例を対象に、ciOPの有無によって分類し、2 群間の臨床病理学的特徴を比較した。
CiOPは、全体の48例(39.7%)に認めた。各疾患でのciOPの有病率は以下の通り。
- 特発性肺線維症(IPF):18/61例(30%)
- 非特異的間質性肺炎(NSIP):9/18例(50%)
- 膠原病に伴う間質性肺炎:10/23例(43%)
- 過敏性肺炎:3/4例(75%)
- 分類不能型間質性肺炎:8/13例(62%)
- その他(喫煙関連とPPFE):0/2例(0%)
12ヶ月の追跡期間中に、ciOPあり群は急性増悪を発症しなかったが、ciOPなし群では1/73例(1%)のみ急性増悪を発症した。
ciOPを有する群では、より重度の拡散障害(DLCO低値)を認めた。
- 努力肺活量(FVC):ciOPあり群 97%、ciOPなし群 85%
- 肺拡散能力(DLCO):ciOPあり群 61%、ciOPなし群 69%
FVC、DLCOはciOPを有しない群に比べ有意に改善した。
- ciOPあり群は12か月で%FVC +6.1%、%DLCO +5.8%の変化
- ciOPなし群は12か月で%FVC +0.4%、%DLCO -1.6%の変化
<まとめ>
ciOPは線維性間質性肺炎の約40%に認める。ciOP群では12か月間で急性増悪は発症せず、肺機能は一部可逆性に改善する可能性がある。