特発性肺線維症における画像所見と予後との関係

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2008年に日本から報告された研究ですが、特発性肺線維症の患者における画像所見についてまとめたとても重要な研究ですのでご報告します。

Sumikawa H, et al. Computed tomography findings in pathological usual interstitial pneumonia: relationship to survival. Am J Respir Crit Care Med 2008;177:433–9.

 

背景

特発性肺線維症(IPF)は、胸部CT検査で典型的な通常型間質性肺炎(UIP)の所見を認める場合と、非特異性間質性肺炎(NSIP)でしばしば見られるような非特異的または非典型的な所見を示す場合がある。

研究の目的:IPFの胸部高分解能CT(HRCT)を再確認し、CT所見と死亡率の相関を明らかにすること。

 

方法

組織学的にUIPと診断され、臨床的にIPFと診断された患者98例を対象とした。

2名の観察者が独立してCT所見を評価し、各症例を以下の3つのカテゴリーのいずれかに分類した。

  1. UIPと確定診断された症例(definite UIP)
  2. UIPと一致した症例(consistent with UIP)
  3. 別の診断の可能性を示唆する症例(suggestive of alternative diagnosis)

 

各所見の定義は以下の通り(ここがポイント)

definite UIP:肺底部胸膜直下に蜂巣肺あり

consistent with UIP:肺底部胸膜直下優位に網状影があり、蜂巣肺はないかあってもごくわずか

suggestive of alternative diagnosis:UIPではなくNSIPのような他疾患がより適切な所見

 

結果

98件のCTスキャン中33件が①UIP確定診断、36件が②UIPに一致する所見、29件が③他疾患の可能性を示唆する所見と分類された。

平均生存期間はそれぞれ45.7ヵ月、57.9ヵ月、76.9ヵ月であった.3つのカテゴリー間で生存期間に有意差はなかった。

牽引性気管支拡張および線維化スコアは,予後の有意な予測因子であった(HRはそれぞれ1.30および1.10、95%信頼区間:1.18~14.2および1.03~1.19)。

 

 

<まとめ>

組織でUIPが証明されたIPF患者では、胸部CT所見においては、UIPに特徴的かどうかや蜂巣肺の有無は予後に影響はない。牽引性気管支拡張と線維化スコアが予後と関係がある。

 

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