間質性肺炎では肺生検がとても重要と考えられていますが、その裏付けとなるとても重要な研究結果が報告されました。
背景
肺生検は間質性肺炎の予後予測に重要だが、患者の臨床経過への影響は未解明である。
本研究では、肺生検が治療戦略を変える可能性があるかどうかを評価し、肺生検後の診断再分類が長期予後に及ぼす影響を評価した。
方法
胸部高分解能CT(HRCT)で明確な通常型間質性肺炎(UIP)パターンを認めない間質性肺炎の426例の連続した肺生検を評価した。
- クライオバイオプシーが266例、外科的肺生検が160例
- 集学的診断チームは、肺生検の前と後の両方で、確信度の高い診断と低い診断、および管理戦略を決定した。
結果
集学的診断チームの最終診断結果は、特発性肺線維症(IPF)が189例、IPF以外の線維化性間質性肺炎が143例、非線維化性間質性肺炎が94例であった。
肺生検のデータにより145例(34%)で管理戦略が変更され、クライオバイオプシーと外科的肺生検では同様の結果となった。
- クライオバイオプシーでは31.5%(84/266例)、外科的肺生検では38.1%(61/160例)で治療戦略が変更された。
肺生検後、経過観察(15%から4%、p<0.001)、ステロイドのみの処方(54%から37%、p<0.001)の治療戦略が減り、抗線維化薬(23%から44%、p<0.001)、免疫抑制剤(7%から14%、p<0.001)による治療が増加した。
再分類された症例の70%(60/85)、肺生検により診断確信度が高まった症例の59%(84/142)で治療方針が変更された。
再分類は転帰に有意な影響を与えた。
臨床医と放射線科医によって非IPFと分類され、肺生検後にIPFと再分類された症例は、非IPF症例と比較して有意に生存率が悪かった(調整後HR 3.8, 95% CI 1.75-8.3)。
最初にIPFと分類され、肺生検後に非IPFと再分類された症例は、IPF確定症例と比較して良好な予後を示した(HR 0.41, 95% CI 0.18-0.94; p=0.03)。
<まとめ>
肺生検の病理学的所見を利用した再診断は、診断の信頼性を高め、3分の1の症例で治療方針が変更となり、予後予測能を向上させた。