論文のタイトル: Risk of 30-Day All-Cause Readmission in Interstitial Lung Disease Patients after COVID-19: National-Level Data
著者: Ali Vaeli Zadeh 1, et al.
出版年: 2023
ジャーナル: Annals of the American Thoracic Society
PMID: 38134434
米国では間質性肺炎でCOVID-19に罹患し入院すると、退院後の再入院率が高く注意を要するようです。
概要:
背景:30日以内の病院再入院は、その治療の質、費用、および結果への影響から、医療提供者、政策立案者、および患者にとって課題をもたらす。特に間質性肺疾患(ILD)の患者は再入院によって影響を受け、それは増加した疾患、死亡率、および生活の質の低下と関連している。これまでの研究では小規模なサンプルサイズが障害となっていたが、この研究は大規模なデータセットを用いてこの知識のギャップに対処した。
目的: COVID-19またはILDで入院した患者の30日全原因再入院率と二次的成果の割合を検証する。
方法: この研究は、PearlDiver患者記録データベースを使用したnested cohort研究である。COVID-19またはILD診断で米国の28州の病院に入院した18歳以上の成人患者を対象にした。
この研究では2つの別々のコホートを定義し分析した。最初のコホートはCOVID-19患者で、その後、ILDの既往歴の有無によって2つのグループに分けた。2つ目のコホートはILD患者で、後にCOVID-19または非COVID-19肺炎の診断で入院したグループに分けた。また、第二のコホートで特発性肺線維症(IPF)と非IPFの2つのサブコホートも研究した。
傾向スコアマッチング(PSM)を用いてグループ間の交絡因子を一致させた。カプラン・マイヤー法でログランク検定を用いて結果を比較した。
結果: COVID-19の2,286,775人の患者とILDの118,892人の患者のデータを評価した。背景にILDを持つCOVID-19患者は、30日全原因再入院率のオッズ比が1.6であることがわかった。同様に、非COVID-19肺炎のために入院した患者と比較して、ILDを持ちCOVID-19に感染した入院患者の再入院率のオッズ比は2.42であった。また、両方のコホートの患者の中で、ICU入院の確率が著しく高いことがわかった。
結論: ILD患者は特にCOVID-19との併発時に、病院再入院率が高くなり、生活の質の低下や医療費の増加などの不利な結果につながる。COVID-19に対する予防策を優先し、ILD患者の退院後ケア戦略を確立することが不可欠である。