強皮症における睡眠時無呼吸症候群と肺高血圧(2021)

論文のタイトル: Impact of concomitant obstructive sleep apnea on pulmonary involvement and main pulmonary artery diameter in adults with scleroderma
著者: Tugce Yakut, et al
出版年: 2021
ジャーナル: Sleep and Breathing
PMID: 32285251

強皮症患者における閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)は、肺動脈直径の拡大と関連し、独立した肺高血圧のリスク因子であることが示されました。

概要
目的: 成人の全身性強皮症において肺は一般的な臓器病変である。強皮症における肺高血圧のリスクに対する閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の影響は不明である。胸部CTによって測定される肺動脈主幹部の拡大(mPAD)は、肺高血圧の有用な予測因子である。本研究では、成人の全身性強皮症におけるOSAの肺の関与およびmPADの拡大への影響について検討した。
方法: 全参加者は肺機能検査、DLCOの測定、胸部CT、および家庭での睡眠時無呼吸検査を伴う夜間睡眠記録を受けた。OSAの診断は、無呼吸・低呼吸指数(AHI)が15/時間以上で行われた。酸素飽和度低下指数(ODI)も記録された。強皮症による肺の関与は、CT所見に基づいてWarrick scoreが7以上と定義された。mPADの拡大は、男性で29mm以上、女性で27mm以上と定義された。
結果: 除外後、62人の患者(女性58人)が含まれた。OSAは20人(32%)に見られ、限局皮膚硬化型では17/42人(38%)、びまん皮膚硬化型では3/20人(15%)に見られた(p = 0.08)。臓器病変として肺病変は、40人の参加者に観察された(OSA群で65%対OSA非発症群で64%;n.s.)。mPADの拡大は16人の参加者に測定され、OSA群の20人中10人(50%)、OSA非発症群の17人中6人(14%)に見られた(p = 0.003)。OSAは、年齢、体重指数、肺臓器病変に関係なく、mPADの拡大と関連していた(オッズ比4.7、95%信頼区間1.1-20.9;p = 0.042)。mPADとAHI(r = 0.37;p = 0.003)およびODI(r = 0.41;p < 0.001)の間には線形関係があった。
結論: このコホートでは、OSAは肺臓器病変に関係なく肺高血圧のリスクと関連していた。これらの所見は、強皮症患者におけるOSAの併存療法の効果を評価することが正当化されることを示唆している。

図. a.主肺動脈径とAHIとの相関 b.主肺動脈径とODIとの相関
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