equivocal ILAの有病率とFVC低下(Ann Am Thorac Soc. 2024)

ILAは偶発的に見つかった肺の間質性陰影ですが、基準は5%以上の範囲で認めることが定められています。今回のこの5%にも満たないさらにわずかな陰影(equivocal ILA)を解析した研究が日本から報告されました。equivocal ILAは、非ILA群に比べFVC低下の傾向が顕著であり、22%がILAに進行したようです。

偶発的に見つかった肺の間質性陰影を今後どのように評価していくべきなのか。さらなる研究が望まれます。

引用文献:Imai R, Tomishima Y, Nakamura T, Yamada D, Ro S, So C, et al. Prognosis of equivocal interstitial lung abnormalities in a health check-up population. Ann Am Thorac Soc 2024.

背景
equivocal ILA:肺区域の5%未満もしくは片側性で、ILAの診断基準を満たさない
■equivocal ILAの有病率や予後は不明である
■目的:equivocal ILAの有病率と長期予後を調査すること。

方法
■2010年に日本の単施設の検診で胸部CTを受けた個人を対象とした後ろ向きコホート研究
■ILAおよびequivocal ILAの診断にはFleischner Society基準を使用
■主要アウトカム:混合効果モデルを用いた努力肺活量(FVC)低下率を、ILA、不明瞭なILA、非ILA群間で比較

結果
■研究対象者20,896人
■ILAおよびequivocal ILAはそれぞれ2.0%(95% CI: 1.8-2.2%)および0.4%(95% CI: 0.4-0.5%)
■追跡肺機能検査は18,101人(87%)で、中央値8.3年(四分位範囲4.0-9.0年)の追跡期間
■equivocal ILAは、非ILA群と比較して有意にFVC低下率が大きかった(-36.7 vs. -27.7 mL/年, P = 0.008)。
■equivocal ILAのある86人中、追跡期間中に20人(23%)が進行を示し、そのうち19人が明確なILAに進行。

結論
■equivocal ILAは、非ILA群に比べFVC低下の傾向が顕著であり、多くがILAに進行した。

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