間質性肺炎の病状が進行すると、体の酸素が不足し、在宅酸素療法を導入することがあります。基準は以下の記事も参考にしてください。
今回、NEJMより在宅酸素療法に関する重要な研究結果が報告されました。
組み入れ基準は低酸素の基準が採用されており、間質性肺炎患者も14%含まれています。今回の結果から、低酸素血症のある場合でも、在宅酸素療法の時間は15時間と24時間では大きく変わりがない可能性が示唆されました。今回の結果をどのように臨床現場がとらえるか、今後の方針をどうしていくか考える必要があります。
引用文献:Ekström M, Andersson A, Papadopoulos S, Kipper T, Pedersen B, Kricka O, et al. Long-term oxygen therapy for 24 or 15 hours per day in severe hypoxemia. N Engl J Med 2024;391:977–88.
背景
■1日15時間以上の長期酸素療法は、重度の低酸素血症患者の生存率を向上させる。
■非無作為比較に基づき、より負担の大きい1日24時間の長期酸素療法が推奨されている。
方法
■仮説:1日24時間の長期酸素療法は、1日15時間の療法よりも1年以内の入院または死亡リスクを低下させない
■慢性重度低酸素血症で酸素療法を開始する患者を対象に多施設型無作為化比較試験を実施
■低酸素の基準:安静時PaO2<55mmHgもしくはSpO2<88%、あるいは心不全兆候や多血症(Ht>0.54)の場合はPaO2<60mmHg
■24時間または15時間の酸素療法を受ける群に無作為に割り付け
■酸素使用方法:PaO2≧60mmHgもしくはSpO2≧90%となるように酸素流量を調節
■主要評価項目:1年以内の全原因による入院または死亡の複合イベント
結果
■2018年5月18日から2022年4月4日までに、241人の患者が登録され、24時間群(117人)または15時間群(124人)に割り付けられた。追跡不能となった患者はいなかった。
■対象疾患:COPD 172例、肺線維症 34例、その他もしくは不明 35例
■12か月後、24時間群の患者の1日あたりの酸素療法使用時間の中央値は24.0時間、15時間群は15.0時間。
■1年以内の入院または死亡リスクは両群で差が見られず、ハザード比は0.99(95%信頼区間: 0.72〜1.36)。
■結論として、重度の低酸素血症患者において、1日24時間の酸素療法は、1日15時間の療法と比べて1年以内の入院または死亡リスクを低下させなかった。