自己免疫学的な特徴を有する間質性肺炎(IPAF)は、膠原病に伴う間質性肺疾患を考えるうえで大変重要な概念ですが、実はその基準には通常型間質性肺炎(UIP)パターンは含まれていません。
★IPAFに関してはこちらの記事もご覧ください。

今回、IPAFがあり組織学的にUIPパターンを有する間質性肺疾患を対象に、免疫抑制療法の有効性を検証する大変重要な研究が日本から報告されました。

IPAF所見があり病理学的にUIPパターンを有する間質性肺疾患では、免疫抑制療法は期待される治療法かもしれません。さらなる検証研究が期待されます。
さらに詳しく解説(専門的な内容です)
背景
自己免疫学的特徴を有する間質性肺炎(IPAF)と組織学的通常型間質性肺炎(UIP)パターン(IPAF-UIP)を有する患者における治療戦略は十分に評価されていない。
研究目的:IPAF-UIP患者に対する抗線維化治療と免疫抑制療法の治療効果を比較すること。
方法
抗線維化治療または免疫抑制療法を受けたIPAF-UIPの連続症例を特定した。臨床的特徴、1年間の治療効果、急性増悪、および生存率を後方視的に調査した。病理学的な炎症細胞浸潤の有無による層別化解析を行った。
結果
抗線維化治療を行った27名、免疫抑制療法を行った29名を対象とした。
1年間の努力肺活量(FVC)の変化は、抗線維化治療を行った患者(27人中4人が改善、12人が安定、11人が悪化)と免疫抑制療法を行った患者(29人中16人が改善、8人が安定、5人が悪化)の間で有意差があった(p=0.006)。
1年間のSt George’s Respiratory Questionnaire(SGRQ)の変化量も、抗線維化治療を行った患者(27人に2人が改善、10人が安定、15人が悪化)と免疫抑制療法を行った患者(29人に14人が改善、12人が安定、1人が悪化)の間で有意差が認めた(p < 0.001)。
生存率については、両群間に有意差はなかった(p = 0.32)。
しかし、組織学的な炎症細胞浸潤を伴うサブグループでは、免疫抑制療法を行った方が生存率が有意に高かった(p = 0.02)。