間質性肺炎におけるクライオバイオプシーの診断感度

間質性肺炎で重要な検査の一つに気管支鏡検査がありますが、最近ではクライオバイオプシーという肺を凍結させて生検する方法が用いられています。

今回、日本の施設からこのクライオバイオプシーを用いた病理診断に関する研究結果が報告されました。

Zaizen Y, et al. Sensitivity of transbronchial lung cryobiopsy in the diagnosis of different interstitial lung diseases. Sci Rep 2022;12:22037.

クライオバイオプシー単独ではなかなか診断が難しいですが、臨床情報や画像情報を組み合わせることで診断感度が向上することが明らかとなりました。

気管支鏡検査に関してはこちらの記事もご覧ください

さらに詳しく解説(専門的な内容です)

背景

各疾患におけるクライオバイオプシー(TBLC)の病理診断、集学的検討(MDD)の精度はまだ確立されていない。

方法

MDD診断で分類された患者431例を対象に、疾患別に調査した。各カテゴリーまたは疾患ごとに、TBLCサンプルを用いて、MDD診断と比較した病理診断の感度を算出した。さらに、これらの感度を、すべての臨床/画像情報を持つ病理診断と比較した。

TBLC病理所見とHRCT画像の対比

結果

TBLCによる診断感度は、特発性間質性肺炎(IIPs)は、膠原病に伴う間質性肺疾患(CTD-ILD)よりも高かった。また、特発性非特異性間質性肺炎(iNSIP)、線維性過敏性肺炎、一部のCTD-ILDの診断は、特発性肺線維症(IPF)と比較して低い結果であった。

IPFでは、すべての臨床/画像情報を用いた診断感度がiNSIPより高かったが、他の疾患との有意差はなかった。また、臨床・画像情報を用いた病理診断の感度は69.0%であり、臨床・放射線情報を用いない場合(52.1%)に比べ有意に高かった。

TBLCの診断感度

TBLC を用いた病理診断の感度は、IPFを除く複数の疾患で低い結果でした。しかし、臨床/画像情報を追加することで、TBLCによる病理診断の感度が向上し、iNSIPを除くすべての疾患においてIPFに劣らない感度が得られました。

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