気管支肺胞洗浄液中の細胞分画とPF-ILD

間質性肺炎では適切なケアを行っても線維化が進行する一群が報告され、進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)やPPFと呼ばれて重要視されています。今回、PF-ILDを予測しうる気管支肺胞洗浄の細胞プロファイルを解析した結果が報告されました。
Tsukuda TK, et al. Lung CCR6-CXCR3- type 2 helper T cells as an indicator of progressive fibrosing interstitial lung diseases. Sci Rep 2022;12:19577.

気管支肺胞洗浄液中のTh2細胞の割合の増加は、線維性間質性肺疾患における肺機能の悪化と関連していることが明らかとなりました。

さらに詳しく解説(専門的な内容です)

背景

進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)は予後不良であり、ステロイドや免疫抑制剤に抵抗性を示すことがあるが、ニンテダニブやピルフェニドンなどの抗線維化薬により肺機能の悪化を遅らせることができることが示されている。

本研究の目的:胸部HRCTで線維化があり、6カ月間で努力肺活量(FVC)の予測値が5%以上相対的に低下したPF-ILDを予測するために、気管支肺胞洗浄液(BALF)の特徴的な細胞プロファイルを明らかにすること

方法

BALFおよび末梢血中のCD4陽性T細胞中の炎症細胞、CCR6-CXCR3- T helper type 2(Th2)細胞の割合をフローサイトメトリーにより測定した。

結果

BALF中のリンパ球の割合は、PF-ILD患者よりも非PF-ILD患者で有意に高かった。
BALF中のTh2細胞の割合は、PF-ILD患者において非PF-ILD患者より有意に高かったが、末梢血中でこの特徴は認めなかった。

多変量解析の結果、BALF中のTh2細胞が多いことがPF-ILDの唯一の指標であることが示された。

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