過敏性肺炎の標準化された質問票

過敏性肺炎では「いかに抗原曝露の病歴を患者さんから聴取するか」がとても重要です。しかし、これまで標準化された問診表はありませんでした。

今回、オーストラリアのグループから過敏性肺炎の質問票に関する研究が報告されました。
Barnes H, et al. Clinical utility of a standardized chronic hypersensitivity pneumonitis exposure questionnaire. Respirology 2022.

過敏性肺炎では、質問票を用いた抗原曝露の聴取を行うことで、抗原曝露の病歴聴取がよりしっかりできることがわかりました。

さらに詳しく解説(専門的な内容です)

背景と目的

抗原曝露の特定は、慢性過敏性肺炎(CHP)の診断、管理、および予後判定に不可欠である。標準化された問診票は曝露の同定に役立つかもしれないが、現在のところ、エビデンスに基づく患者検証済みの問診票は存在しない。また、曝露の関連性を示す重要な修飾語(期間や頻度など)の定義も不十分である。

本研究では、標準化されたCHP抗原曝露質問票を使用して、抗原曝露の同定とCHPの診断の信頼性を評価した。

方法

オーストラリアの間質性肺疾患(ILD)専門施設5カ所で集学的会議(MDM)診断を受け、インフォームドコンセントを得た人を対象とした。

参加者は、以前に開発された標準的なCHP曝露質問票を記入した。回答は、診断、診断の信頼度、臨床医が誘発した曝露など、参加者のMDMデータとともに収集された。

結果

130人の参加者(IPF=58、CHP=24、CTD-ILD=17、分類不能=19、その他=12)が含まれた。

CHP参加者の33%において、標準化された質問票によって、臨床医が行わない曝露が引き出された。このうち63%はCHPの信頼度が低く、曝露歴があれば診断の信頼度が高まったと思われる。

標準化された質問票を使用すると、CHP参加者の96%が何らかの曝露を報告しているのに対し、HP以外のILD参加者では75%であった。

CHPは、非CHPと比較して、回避により症状が改善したと報告する確率が3.5倍高く(p = 0.004)、毎日頻繁に曝露したと報告する確率が2.3倍高かった(p = 0.018)。

(図. CHPとnon-HP ILDの各曝露の頻度。文献より引用掲載)

抗原曝露の特徴を引き出す標準化された質問票は、過敏性肺炎の診断の信頼性を高め、抗原不明の割合を減らすことができそうです。

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