全身性強皮症、全身性強皮症に伴う間質性肺疾患に対するミコフェノール酸モフェチル(MMF、商品名:セルセプト)の使用に関して、日本の経年的な変化や使用実態がレセプトデータを用いた解析で明らかとなりました。
一言解説
日本では2015年以降、全身性強皮症、全身性強皮症に伴う間質性肺疾患に対するミコフェノール酸モフェチル(MMF、商品名:セルセプト)の使用量が増加している(適応外使用)。
さらに詳しく解説(専門的な内容です)
目的
本邦における全身性強皮症(SSc)またはSScに伴う間質性肺疾患(SSc-ILD)患者のミコフェノール酸モフェチル(MMF、商品名:セルセプト)投与に関する情報は限られている。そのため、MMFを投与されているSScおよびSSc-ILD患者の投与量、治療期間、患者の特徴について検討した。
方法
日本の病院レセプトデータベース(2008-2020)のデータを使用した。
結果
MMFを投与された18歳以上のSSc患者486名のデータのうち、314名がILDを合併したSScであった。
初回1日投与量の最多:1000 mg(SSc, 39.5%; SSc-ILD, 38.1%)および500 mg(SSc, 36.6%; SSc-ILD, 34.6%)
1日の最大投与量の最多:1000mg(SSc, 33.3%; SSc-ILD, 34.9%)、1500mg(SSc, 24.4%; SSc-ILD, 23.1%)および2000mg(SSc, 23.8%; SSc-ILD, 24.4%)
1日の投与量:250〜3000mg、SScとSSc-ILDの患者で同様
27%以上の患者が1年以上治療を受けており、MMF治療中にステロイドの投与量は徐々に減少していた。
<まとめ>
本研究は、日本では2015年以降、SScおよびSSc-ILDに対するMMFの適応外使用が年々増加していることを示唆している。SScおよびSSc-ILD患者に使用された用量は、本邦におけるループス腎炎に対するMMFの承認用量と同様であった。