日本人のPRISmと死亡やAFL発症リスク

一秒量と努力肺活量は低下するが比率は正常(COPDの基準は満たさない)なpreserved ratio impaired spirometryPRISm)に関して、日本から地域住民を対象としたとても重要な大規模コホート研究がAJRCCMに報告されました。

Washio Y, Sakata S, Fukuyama S, Honda T, Kan-O K, Shibata M, et al. Risks of Mortality and Airflow Limitation in Japanese with Preserved Ratio Impaired Spirometry. Am J Respir Crit Care Med 2022.

一言解説

一秒量と努力肺活量が低下することで、COPDの基準を満たさない一群が存在する。このPRISmは全死亡、心血管系死亡のリスク、将来の気流制限発症のリスクと関連していた。

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さらに詳しく解説(専門的な内容です)

背景

欧米のいくつかの研究では、preserved ratio impaired spirometryPRISm)を持つ参加者は、気流制限(AFL)と死亡のリスクが高いことが報告されている。しかし、東アジアの集団におけるエビデンスは限られている。

目的:日本人集団におけるPRISmと死亡およびAFL発症のリスクとの関係を調査

方法

40歳以上の日本人地域住民3,032人を対象に、年1回の肺機能検査により中央値5.3年の追跡調査を行った。
参加者はベースライン時に以下の肺機能カテゴリーに分類された
  1. 正常スパイロメトリー(FEV1/FVC ≧0.70および%FEV1≧80%)
  2. PRISm(FEV1/FVC ≧0.70および%FEV1 <80%)
  3. AFL Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease(GOLD)1(FEV1/FVC <0.70および%FEV1 <80%)
  4. AFL GOLD2-4(FEV1/FVC <0.70および%FEV1 <80%)

ハザード比(HR)およびその95%信頼区間(CI)は、Cox比例ハザードモデルを用いて算出された。

結果

追跡期間中、131人が死亡し、うち22人が心血管系疾患で死亡し、218人がAFLを発症した。ベースラインの肺機能カテゴリーごとの予後を検討すると、PRISmを有する参加者は、交絡因子調整後、スパイロメーターが正常な参加者に比べて、全死亡(HR 2.20[95%CI:1.35~3.59]) および心血管死 (HR 4.07[1.07~15.42] )のリスクが高かくなっていた。さらに、PRISmを有する参加者のAFL発症の多変量調整リスクは、正常なスパイロメトリーの参加者よりも大きかった(HR 2.48 [1.83~3.36] )。
 
<まとめ>
PRISmは、日本人コミュニティにおける全死亡および心血管系死亡の高リスクと、AFL発症の高リスクと関連していた。
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