筋炎に伴う間質性肺炎におけるMUC5B遺伝子多型の関与の有無を調べた研究が報告されましたが、筋炎に伴う間質性肺炎ではMUC5B遺伝子多型の関与はないという結果でした。
一言解説
筋炎に伴う間質性肺炎ではMUC5B遺伝子多型の関与は示されていない。
さらに詳しく解説(専門的な内容です)
背景
間質性肺疾患(ILD)は自己免疫性筋炎の患者によく見られるが、感受性を決定する因子は不明である。家族性および散発性の特発性肺線維症(IPF)は、MUC5Bのプロモーター領域の一塩基多型(rs35705950)と強い関連性があることが分かっている。
研究目的:MUC5B多型の発現と筋炎に伴うILDの関係を明らかにすること。
結果
ヨーロッパ系アメリカ人402名(特発性間質性肺炎(IIP)60名、筋炎に伴うILD208名、コントロール134名)を対象に、MUC5Bマイナーアレル頻度を調べた。
MUC5Bマイナーアレル頻度は、非筋炎性ILD、筋炎に伴うILD、コントロールでそれぞれ26%、8%、7%であった。MUC5Bの変異はIIPと関連していた(OR 4.10;p < 0.001)。
MUC5B多型は筋炎に伴うILDと有意な関連はなかった(OR 1.08; p = 0.80)。
<まとめ>
IIPコホートにおけるMUC5BのMUC5Bマイナーアレル頻度は、家族性および散発性IPFの被験者の頻度とほぼ同じであった。MUC5Bプロモーター変異は、筋炎患者におけるILDリスクに寄与していない可能性がある。