二酸化炭素が貯留したCOPD患者に対する高流量鼻カニュラ酸素療法の有効性が明らかとなった研究で、日本からの2022年に報告されたとても重要な論文です。
一言解説
二酸化炭素が貯留するCOPD患者に対して、高流量鼻カニュラ酸素療法の有効性が明らかとなった。
さらに詳しく解説(専門的な内容です)
背景
COPD(慢性閉塞性肺疾患)による慢性の二酸化炭素貯留を伴う呼吸不全に対するカニュラ酸素療法(HFNC)の長期効果は不明である。
目的:COPDによる慢性の二酸化炭素貯留を伴う呼吸不全患者において、HFNCの長期使用により増悪回数が減少し、その他の生理学的パラメータが改善されるかどうかを評価すること。
方法
daytime hypercapnia(global initiative for COPDステージ2~4)を呈し、長期酸素療法(16時間/日以上、1ヶ月以上)を受けている104名(40歳以上)を登録し、HFNC・長期酸素療法群および長期酸素療法群に無作為割付した。
主要評価項目は中等度/重度のCOPD増悪率とした。
動脈血ガス値、末梢酸素飽和度、肺機能、健康関連QOLスコア、6 分間歩行試験のベースラインからの変化を比較検討した。
結果
HFNCは、中等度/重度の増悪率を有意に減少させ(未調整平均数1.0 vs. 2.5、調整平均数の群間比[95%信頼区間]2.85[1.48-5.47])、中度/重度の増悪のない期間を延長させた。
長期酸素療法群における中等度または重度の初回増悪までの期間の中央値は 25(14.1~47.4)週であったが、HFNC・長期酸素療法群では中央値に到達しなかった。
高流量鼻カニューレは、健康関連QOLスコア、末梢酸素飽和度、および特定の肺機能パラメーターを有意に改善した。安全性に関する懸念は確認されなかった。
<まとめ>
HFNCは、増悪歴のある二酸化炭素貯留を伴う呼吸不全があるCOPD患者に対する妥当な治療選択肢である。