特発性肺線維症(IPF)で、栄養不良と食事量低下が入院や死亡と関連があることが報告されました。
一言解説
IPFでは栄養不良と食事量低下は入院や死亡率上昇と関連がある。
さらに詳しく解説(専門的な内容です)
背景
特発性肺線維症(IPF)患者において栄養不良は頻繁にみられる。
研究目的:新たにIPFと診断された患者において、診断時の栄養不良と全原因入院、生存率、急性増悪の関係を検討した。
方法
この前向きコホート研究では、新たにIPFと診断された連続した153人の外来患者の栄養状態を、body mass index(BMI)、生体電気インピーダンス分析による無脂肪体重指数(FFMI)、およびSelf Evaluation of Food Intake(SEFI)®による食物摂取量を測定することにより評価した。
診断は基準日とし、栄養不良はFFMIが17kg/m2(男性)または15kg/m2(女性)未満と定義した。
全死因入院と死亡に関連する因子を明らかにするため、単変量Cox回帰分析を行い、P < 0.2の変数をステップワイズ多変量解析に含めた。
結果
ベースライン時に26%(40/153例)が栄養不良であり、BMIが<25kg/m2の患者でより頻繁(62%)であった。
ベースラインのFFMIが低い患者は、入院(HR = 1.98 [95%CI 1.15-3.41] P = 0.0139)および/または死亡(HR = 1.79 [95%CI 1.11-2.89] P = 0.0165 )する傾向が強いが、急性増悪率は正常FFMIの患者と同程度であった。
ベースライン時の食事摂取量の低下(SEFI®<7)は、追跡調査中の全原因入院(P=0.003)および死亡率(P<0.0001)と関連していた。
ベースラインでGAPスコアが高い(HR = 1.24 [95%CI 1.01-1.52] P = 0.0434; HR = 1.71 [95%CI 1.37-2.14] P < 0.0001)、低BMI(HR = 0.89 [95%CI 0.83-0.96] P = 0.003; HR = 0.89 [95%CI 0.82-0.96] P = 0.001)、食事摂取量の減少(SEFI®スコア)(HR = 0.81 [95%CI 0.71-0.93] P = 0.003; HR = 0.72 [95%CI 0.64-0.81] P < 0.0001 )は追跡中の入院率および死亡率と独立して関連していたが、FFMIは関連がなかった。
<まとめ>
IPF診断時の栄養不良および食事摂取量の減少は、入院および死亡率と関連していた。