肺生検の方法の一つにクライオバイオプシー(TBLC)があります。今回クライオバイオプシーのエビデンス構築、ガイドラインの更新のためのシステマティックレビューが行われました。
一言解説
クライオバイオプシーの診断率は80%であり、検査に伴う合併症として出血は30%、気胸は8%で起こり得る。
さらに詳しく解説(専門的な内容です)
背景
2018年に特発性肺線維症(IPF)の診断に関する米国胸部学会、欧州呼吸器学会、日本呼吸器学会、Asociación Latinoamericana del Tórax臨床実践ガイドラインに情報を提供するため、間質性肺疾患(ILD)患者におけるクライオバイオプシー(TBLC)の評価を行うシステムレビューを実施した。
研究目的:新たなシステマティックレビューを実施し、ガイドラインの更新に役立てること。
方法
2020年6月までにMedline,Excerpta Medica Database,Cochrane Central Register of Controlled Trials(CCTR)を検索した。ILD患者を登録し、TBLCの診断率または合併症率を報告した研究を対象として選択した。データを抽出し、メタアナリシスにより研究間でプールした。エビデンスの質は、推奨、評価、開発、評価のアプローチで評価された。
結果
ILD患者では、TBLCの病理組織学的診断率(病理組織学的診断が得られた処置の数÷処置の総数)は80%(95%CI:76~83%)であった。
出血と気胸はそれぞれ30%(95%CI:20~41%)と8%(95%CI:6~11%)で合併した。処置に関連した死亡、重度の出血、長期のair leak、急性増悪、呼吸不全、および呼吸器感染症はまれであった。
エビデンスの質は、非対照の研究デザイン、連続登録の欠如、結果の一貫性のなさから非常に低いものであった。
<まとめ>
非常に質の低いエビデンスによると、ILD患者におけるTBLCの診断率は約80%であり、合併症も管理可能(出血30%、気胸8%)であることが示された。