間質性肺炎の中には進行性に線維化が悪化する一群があり、PF-ILDと呼ばれています。今回海外のコホート研究から、PF-ILDを満たした後の経過を評価した大変重要な研究が報告されました。
進行性線維化をきたす間質性肺炎(PF-ILD)では、画像の進行が認めた場合が、その後の肺活量の低下が最も大きい結果でした。しかし、間質性肺炎の種類によってPF-ILDを満たしたのちの経過は様々のようです。
さらに詳しく解説(専門的な内容です)
背景
進行性線維化性間質性肺疾患(PF-ILD)は、死亡リスクの上昇と関連しているが、個々の基準を満たした後の肺機能の軌跡は不明なままである。
治療試験において生存が主要エンドポイントとして採用されることはほとんどない。PF-ILDを満たした後のFVCの変化を、最もよく予測するPF-ILD基準を特定することは、臨床試験デザインを改善する可能性がある。
方法
米国の3施設(試験コホート)と英国の1施設(検証コホート)において、膠原病に伴うILD(CTD-ILD)、慢性過敏性肺炎、特発性間質性肺炎の連続患者を対象に、多施設共同縦断レトロスペクティブコホート解析を実施した。
PF-ILD基準を満たした後のFVCの1年変化をジョイントモデリングにより推定した。主要なサブグループ間で結果が異なるかどうかを判断するため、サブグループ解析を実施した。
結果
1,227人の患者が対象となり、CTD-ILDが多かった。
9つのPF-ILD基準のうち6つがFVCの1年変化と関連しており、放射線による線維化の進行は、単独でも他の特徴と組み合わせてもその後のFVCの最大の低下と関連していた。
ILDのサブタイプによって有意差があり、CTD-ILDではほとんどのPF-ILD基準を満たした後FVCにほとんど変化がなかったが、他のILDでは有意に大きな変化がみられた。
放射線学的パターンや免疫抑制剤治療歴による層別化では所見に変化はなかった。
PF-ILDの基準を満たした後のFVCの短期的な変化は、評価する基準によって不均一であり、ILDのサブタイプに強く影響された。