ニンテダニブを減量、中止した場合の効果

 

ニンテダニブの有害事象は下痢が最多ですが、有害事象によってニンテダニブを中断したり減量したりします。今回治験の結果から、ニンテダニブの中断、減量を行っても効果はそれほど変化がないことが報告されました。

Cottin V, et al. Safety and tolerability of nintedanib in patients with progressive fibrosing interstitial lung diseases: data from the randomized controlled INBUILD trial. Respir Res 2022;23:85.

 

一言解説

ニンテダニブで有害事象がでた際には、減量や中止を行うが、それによって大きく効果が変わることはない。

 

 

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さらに詳しく解説(専門的な内容です)

背景

進行性線維化性間質性肺疾患(ILD)患者を対象としたINBUILD試験において、ニンテダニブはプラセボと比較してFVCの低下率を減少させ、副作用はほとんどの患者にとって管理可能であった。

INBUILD試験のデータを用いて、ニンテダニブの安全性と忍容性の特徴をさらに明らかにする。

 

方法

特発性肺線維症(IPF)以外の線維化性ILDで、臨床で適切と考えられる管理にもかかわらずスクリーニング前の24ヶ月以内にILDの進行を経験した患者を、ニンテダニブ150 mg 1日2回投与とプラセボ投与に無作為に割り付けた。

有害事象を管理するために、治療を中断したり、1日2回100mgに減量することも可能であった。試験期間中、有害事象と用量調節を評価した。

 

結果

332人の患者がニンテダニブの投与を受け、331人がプラセボの投与を受けた。治験薬投与期間の中央値は両群とも17.4カ月であった。

有害事象により治療が中断された患者は、ニンテダニブ投与群では22.0%、プラセボ投与群では14.5%であった。

最も頻度の高い有害事象は下痢で、ニンテダニブ投与群では72.3%、プラセボ投与群では25.7%で報告された。下痢により治療を中止した患者はニンテダニブ群で6.3%、プラセボ群で0.3%であった。

ニンテダニブ群およびプラセボ群では、それぞれ48.2%および15.7%の患者が1回以上の減量および/または治療の中断を経験した。

(図. ニンテダニブの減量の有無でのFVC減量率の変化。文献より引用掲載)

 

重篤な有害事象はニンテダニブ群で44.3%、プラセボ群で49.5%に報告された。ニンテダニブの有害事象プロファイルは、年齢、性別、人種、体重に基づくサブグループ間で概ね一致していたが、悪心、嘔吐、減量は男性よりも女性で多く認めらた。

 

 

<まとめ>

ニンテダニブの減量、中止・再開を行っても、治療効果には大きな変化がないことが明らかとなった。

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