間質性肺炎の重要な合併症の一つに肺高血圧症があります。今回間質性肺炎に合併した肺高血圧症の分類として、post-capillary PHとpre-capillary PHを比較した大変重要な研究が日本から報告されています。
一言解説
間質性肺炎の合併症の一つに肺高血圧症がある。難しい分野ではあるが、少しずつその研究結果が蓄積されている。
さらに詳しく解説(専門的な内容です)
背景
肺高血圧症(PH)は、間質性肺疾患(ILD)患者の死亡率に影響する。ILD患者に関するほとんどすべての研究は、生存率に対するpre-capillary PHの臨床的影響に焦点が当てられており、post-capillary PHの影響については、ほとんど知られていない。
研究目的:ILD患者におけるpost-capillary PHの有病率と生存に対する臨床的影響を評価し、その後pre-capillary PHと比較すること。
方法
2007年5月から2015年12月の間に、右心カテーテル検査でPHと診断されたILD患者1152人を後方視的に解析した。post-capillary PHの人口統計学と複合アウトカム(あらゆる原因による死亡または肺移植と定義)を分析しpre-capillary PHとの比較を行った。
結果
ILD-PH患者157人のうち32人(20%)がpost-capillary PHと診断された。
- post-capillary PHは、pre-capillary PHと比較して、mMRCが低く、DLCOが高値で、安静時PaO2が高く、肺血管抵抗(PVR)が低く、6分間歩行試験での最低SpO2が高かった。
- 心血管系疾患は、post-capillary PHの死亡リスクと関連していた。
多変量Cox比例ハザード解析では、複合アウトカムにpre-capillary PHとpost-capillary PHに有意差は認められなかったが、PVRとILD-GAP indexは複合アウトカムと有意に関連した。
<まとめ>
ILD-PH 患者の約20%がpost-capillary PHと診断され、post-capillary PHではなくPVR が死亡率と関連することがわかった。