進行性ILDに対するTBLCは診断と治療方針の決定に有用

肺の病理所見を確認する際に、最近ではクライオバイオプシーを行うことがあります。進行性の経過がある間質性肺炎の再診断や治療方針の変更の決定にクライオバイオプシーが有用性である可能性が示唆されています。

Sato Y, et al. Usefulness and safety of transbronchial lung cryobiopsy for reassessment of treatment in the clinical course of diffuse parenchymal lung disease. BMC Pulm Med 2022;22:46.

一言解説

間質性肺炎の経過中に進行性の悪化を確認した場合、再診断や治療方針の再決定にクライオバイオプシーを行うことが有用である可能性がある。

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さらに詳しく解説(専門的な内容です)

背景

進行性びまん性肺疾患(ILD)の再評価におけるクライオバイオプシー(TBLC)の有用性と安全性はまだ不明である。我々は、進行性ILDの再診断におけるTBLCの有用性と安全性を明らかにすることを目的とした。

方法

2017年1月から2019年9月までに、外科的肺生検によりILDと診断され、臨床経過が進行し再評価のためにTBLCを施行した31例を単施設で後方視的に解析した。

TBLCによる病理学的情報の有無にかかわらず、臨床情報と放射線情報に基づき、2名の呼吸器内科医が独立して臨床診断、治療方針、治療方針の信頼度を選択した。

臨床診断、治療方針、治療方針の信頼度については、呼吸器内科医の間でコンセンサスが得られた。また、TBLCの合併症についても検討した。

結果

TBLC後に臨床診断が変更された症例は、呼吸器内科医Aで7例(22.6%)、呼吸器内科医Bで5例(16.1%)、そしてコンセンサスで6例(19.4%)であった。

(図. 呼吸器内科医のTBLC前後の診断の推移。文献より引用掲載)
治療方針の変更は、呼吸器内科医A、呼吸器内科医B、コンセンサスでそれぞれ7(22.6%)、8(25.9%)、6(19.4%)の症例で行われた。コンセンサスによる治療方針の確定または高信頼度は、TBLCなし54.8%(17/31)、TBLCあり83.9%(26/31)であった。

(図. TBLC前後の治療方針の推移と確信度。文献より引用掲載)
中等度の出血が6例あったが、その他の合併症は認めなかった。

<まとめ>

進行性の間質性肺炎に対してTBLCによる病理情報は診断と治療方針の決定に寄与する可能性がある。

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