間質性肺炎の画像解析に関しては、深層学習(deep learing)を用いたAIの発展が目まぐるしいものがあります。
一言解説
深層学習を用いたAIの読影結果を用いることで、間質性肺炎の予後をより高精度で予測ができるようになっている。
さらに詳しく解説(専門的な内容です)
背景
ベースラインのHRCTデータを用いた線維化性肺疾患患者における信頼性の高い転帰予測は、依然として困難である。
研究目的:HRCT上のUIP様特徴の識別(UIP確率)においてトレーニングおよび検証された深層学習アルゴリズム(SOFIA)の予後精度を、全国登録から抽出した進行化性線維性肺疾患患者の大規模コホートにおいて評価すること。
方法
SOFIAと放射線科医によるUIP確率をPIOPEDベースのUIP確率カテゴリーに変換し、Cox比例ハザードモデルを使って予後有用性を評価した。
★PIOPED diagnostic criteria
- UIPが鑑別に含まれない(not included in the differential):0~4%
- UIPの低確率(low):5~29%
- UIPの中間確率(indeterminate):30~69%
- UIPの高確率(high):70~94%
- UIPの確定的(pathognomonic):95~100%
結果
年齢、性別、ガイドラインに基づく放射線診断、疾患の重症度(HRCT上のILDの広がり、%FVC、DLco、CPI)を調整した多変量解析では、SOFIA-UIP確率PIOPEDカテゴリーのみが生存率を予測した。
- SOFIA-PIOPEDのUIP確率カテゴリーは、放射線科専門医のコンセンサスによりindeterminate for UIPとされた患者(n=83)においても予後的に有意であった(HR1.73、p<0.0001、95%CI 1.40-2.14)。
- 外科的肺生検(SLB)を受けた患者(n=86)において、ガイドラインに基づく組織学的パターンとHRCT上の全ILD範囲を調整した後、SOFIA-PIOPED確率のみが死亡率を予測した(HR1.75、p<0.0001、95%CI 1.37-2.25 )。
<まとめ>
深層学習によるHRCT上のUIP確率は、専門放射線科医の評価またはガイドラインに基づく組織学的パターンと比較して、進行性線維化性肺疾患患者の転帰をより正確に予測可能であった。