環境中の微小粒子状物質(PM2.5-10)と死亡率との関連を全世界で調査した研究結果が報告されています。
一言解説
全世界の調査でPM2.5-10は死亡率上昇と関連があり、呼吸器系死亡への影響も確認された。
さらに詳しく解説(専門的な内容です)
背景
環境中の微小粒子状物質(PM2.5-10)と死亡率との関連は、地球規模では十分に理解されていない。
目的:PM2.5-10と総死亡率、心血管系死亡率、呼吸器系死亡率の短期的な関連性を世界の複数の国・地域にわたって評価すること。
方法
20カ国・地域の205都市から毎日の死亡率(総死亡率、心血管死亡率、呼吸器死亡率)と大気汚染データを収集した。
- PM2.5-10濃度は、吸入性粒子状物質と微粒子状物質の差として計算した。
- 過分散一般化線形モデルとマルチレベルメタ解析によるtwo-stage time-series analyticアプローチを適用した。
- PM2.5-10 の共汚染物質(微小粒子状物質、二酸化窒素、二酸化硫黄、オゾン、一酸化炭素)からの独立効果を検証するために2汚染物質モデルを当てはめ、PM2.5-10 の影響を調べた。
- 曝露-反応関係曲線はプールされ、地域別分析が行われた。
結果
lag0-1日のPM2.5-10濃度が10μg/m3増加すると、総死亡率、心血管死亡率、呼吸器死亡率がそれぞれ0.51%(95%信頼区間[CI]:0.18-0.84%)、0.43%(95%CI:0.15-0.71%)および0.41%(95%CI:0.06-0.77%)増加することが明らかになった。
- この関連は国や地域によって異なっていた。
- これらの関連性は、2汚染物質モデルにおけるすべての共汚染物質による調整、特にPM2.5については強固であった。
総死亡、心血管系死亡、呼吸器系死亡の曝露-反応曲線は正であり、低い曝露域でより急な傾斜を示したが、明確な閾値はなかった。
<まとめ>
環境中のPM2.5-10への短期曝露と総死亡、心血管系死亡、呼吸器系死亡との独立した関連性に関する新しい研究結果が報告された。