IPFの新たな予後予測モデル:DO-GAP

特発性肺線維症(IPF)の予後予測モデルにGAPモデルがありますが、今回このGAPモデルに6分間歩行試験の歩行距離と労作時低酸素血症を加えた改訂版GAPモデルが報告されました。

Chandel A, Pastre J, Valery S, King CS, Nathan SD. Derivation and validation of a simple multidimensional index incorporating exercise capacity parameters for survival prediction in idiopathic pulmonary fibrosis. Thorax 2022.

一言解説

従来のGAPモデルに運動パラメーターとして6分間歩行試験や労作時低酸素を組み込むことで、予後予測能が向上した。

さらに詳しく解説(専門的な内容です)

背景

特発性肺線維症(IPF)のベースライン死亡率予測モデルとして、性別-年齢-生理機能(GAP)指数が報告されている。しかし、GAP indexは6分間歩行距離(6MWD)や労作性低酸素症などの運動能力パラメータを組み込んでいない。

研究目的:GAP indexに6MWDと労作性低酸素症を加えることで、IPFの生存予測が改善されるかどうかを評価した。

  • 6分間歩行試験の歩行距離:250m未満
  • 労作時低酸素血症:酸素療法もしくは6分間歩行試験でSpO2 88%未満

結果

内部コホートでは、562人のIPF患者が登録された。オリジナルのGAP indexの予後識別性は、C統計量0.676(95%CI 0.635〜0.717)であった。

6MWDと労作時低酸素症は、死亡を強く予測する変数であった。これらの変数をGAP indexに追加することで、モデルの予後識別性が有意に改善した。

運動能力パラメータを組み込んだ改訂版GPA indexが構築され、内部検証セットで良好な結果を示した(C-statistic: 0.752; 95% CI 0.701 to 0.802, 改訂版GAPindexと比較したC-statisticの差: 0.050; 95% CI 0.004 to 0.097)。さらに、外部検証コホート(N=108 (C-statistic: 0.780; 95% CI 0.682 to 0.877) )で良好な結果が得られた。

(図. 改訂版GAP indexと各ステージごとの予後予測。文献より引用掲載)
<まとめ>

運動能力因子をGAPモデルに組み込んだ改訂版GAPモデル(DO-GAP)は、IPF患者の予後予測能を向上した。

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