中国から検診データを用いたILA(Interstitial lung abnormalities)の有病率とその後の進行、進行リスク因子が報告されました。
一言解説
ILAの有病率は2.1%で年齢とともに直線的に増加する。胸膜下非線維化ILAの半数近くが4年以上経過すると画像的に進行し、網状影は画像的進行の危険因子であった。
さらに詳しく解説(専門的な内容です)
背景
ILA(Interstitial lung abnormalities)は臨床の場で確認されることが多くなってきている。特に胸膜下非線維化ILAについては、経時的な進行のリスクや進行性挙動の危険因子はまだほとんど分かっていない。
目的:大規模健診集団におけるILAの年齢帯有病率および胸膜下非線維化ILAの経時的な画像的進行のリスクを明らかにし、網状影が画像的進行のリスクにどのように寄与しているかを明らかにすることである。
方法
Fleischner SocietyによるILAの定義に基づき、中国で健康診断を受けた地域住民の低線量胸部CT画像についてILAを評価した。
多変量ロジスティック回帰を用いて、画像的進行のリスクを評価した。
結果
155,539人中、3,300人(2.1%)がILAを有することが確認された。
- 大半(81.7%)は胸膜下非線維化ILAと定義された。
- ILAの有病率は年齢とともに直線的に増加した(P for trend<0.0001)。
- 胸膜下非線維化ILAを有する454人のうち、198人(43.6%)が4年以上経過すると画像的に進行した。
最初の画像診断で網目状のものがあったことは、画像的進行の独立した予測因子であった(OR 1.9; 95%CI 1.2-3.0, P=0.0040)。
広範な網状影を有する胸膜下非線維化ILAと胸膜下線維化ILAとの間に画像的進行の差は確認されなかった(73.0% vs 68.8%、P=0.7626)。
<まとめ>
ILAの有病率は2.1%であり、年齢とともに直線的に増加した。さらに胸膜下非線維化ILAの半数近くが4年以上経過すると画像的に進行し、網状影は画像的進行の危険因子であった。