在宅酸素療法の副作用とQOL(スウェーデン)

病院外での酸素療法は、日本ではよくHOT(在宅酸素療法)といいますが、海外では長期間行うことが重要と考えられており、LTOT(Long-term oxygen therapy)と表現されます。

今回スウェーデンから、このLTOTの副作用、生活習慣、QOLに関する重要な最新の知見が報告されました。

Björklund F, Ekström M. Adverse effects, smoking, alcohol consumption and quality of life during long-term oxygen therapy: A nationwide study. Ann Am Thorac Soc 2022.

 

一言解説

在宅酸素療法は健康関連QOLを低下し、様々な有害事象がある。しかし多くの有害事象は未報告のものであり、医療従事者と適切な情報共有が大切である。

 

 

さらに詳しく解説(専門的な内容です)

背景

長期間酸素療法(LTOT)は1日15時間以上処方され、患者が数年間使用することが多いが、治療者の副作用、リスク、健康関連の生活の質(HrQoL)に関する知識は限られている。

目的:LTOTを受けた患者における副作用、喫煙、飲酒の有病率、およびそれらのHrQoLとの関係を明らかにすること。

 

方法

スウェーデン呼吸不全全国登録(Swedevox)に登録されているLTOT継続中の成人患者を無作為に抽出し、横断的に調査した。

COPD Assessment Test(CAT)でHrQoLが良好な回答者と悪い回答者の間で、患者特性および事前に指定した26の有害事象、喫煙、飲酒の有病率を比較した。

 

結果

平均年齢74.7歳(SD 8.6)、女性58.9%、LTOT期間中央値2.4年(IQR 1.1-3.9)、合計151名が対象となった。

  • LTOT開始時の特徴は、回答者と非回答者の間で類似していた。
  • 現喫煙者の割合は非常にまれであった(n=4、2.6%)。
  • アルコール摂取については、67.2%が通常は飲酒はしないと回答したが、男性25.8%、女性16.9%がリスク摂取を報告した。
    リスク摂取:男性で週に14standard unit以上、女性で7standard unit以上の飲酒(1 unit=10mlの100%アルコール)

 

光る電球のイラスト最も多く見られた副作用は、

  • 移動または身体活動の低下(70.9%)
  • 口の渇き(69.5%)
  • 鼻づまりまたは鼻水(61.6%)
  • 疲労感の増加(57.0%)
  • 鼻の乾燥(53.0%)

であった。

総体的および全身的な副作用の数が多い患者ほどHrQoLが悪化したが、喫煙状況や飲酒との関連はみられなかった。また、副作用の大部分(54.8%)は未治療であり、医療従事者に報告されていなかった。

 

 

<まとめ>

有害事象は在宅酸素療法患者に多くみられ、HrQoL の悪化と関連する。副作用の大部分は議論も治療もされていなかったため、リスク曝露と副作用の評価と管理が必要である。

 

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