間質性肺炎では様々な抗原曝露の有無について病歴を聴取します。カナダのコホート研究から、間質性肺炎における抗原曝露の頻度が報告されました。
一言解説
間質性肺炎の抗原曝露は約60%に認め、男性や家族歴がある患者に多く、抗原曝露の病歴が聴取できた患者は予後良好な経過であった。
さらに詳しく解説(専門的な内容です)
背景と目的
吸入暴露は間質性肺疾患(ILD)の原因として知られているが、ILDサブタイプ間での有病率、肺機能および生存との関係についてはほとんど理解されていない。
方法
多施設からなるCanadian Registry for Pulmonary Fibrosisから線維性ILDの患者を同定した。患者は、ILDに関連する職業的および環境的な曝露に関するアンケートに回答した。
曝露とベースラインの年齢、性別、家族歴、肺機能、生存の結果との関係は、線形およびロジスティック回帰モデル、線形混合効果回帰モデル、多変量Cox比例ハザードによる生存分析、およびログランク検定を用いて分析された。
結果
3820人の患者が対象となり、2385人(62%)がILDに関連した吸入曝露を受けた。
- 曝露のある患者は若年の傾向があり、特に特発性肺線維症(IPF)サブグループにおいて有意に若年であった。
- 吸入暴露は、男性(調整後OR 1.46、95%CI 1.28-1.68、p<0.001)および家族歴(調整後OR 1.73、95%CI 1.40-2.15、p<0.001)に関連していた。
あらゆる吸入暴露を受けたILD患者では、transplant-free survival(ハザード比 0.81,95% CI 0.71-0.92,p = 0.001)が改善した。
- HPでは有意に改善したが、IPF、CTD、UCILDでは有意差を認めなかった。
- 曝露とFVCの年間変化との関係は、ILDのサブタイプによって様々であった。
<まとめ>
線維性ILDの各サブタイプの抗原曝露の頻度が明らかとなり、IPFとUCILDは約3人に2人、CTDは約半数、HPは約80%に認めた。