抗線維化薬であるニンテダニブのPF-ILDに対するの有効性は明らかであり、実臨床でも用いられています。しかし、特発性肺線維症(IPF)に対する抗線維化薬には現在2種類があり、もう一方の抗線維化薬であるピルフェニドンに関しては、その有効性は明らかではありません。
今回、進行性肺線維症(PPF, progressive pulmonary fiborisis)に対するピルフェニドンの有効性と安全性を、システマティックレビューで評価した研究が報告されました。
一言解説
線維化が進行性に悪化する間質性肺炎に対して、過去の研究結果をまとめて解析を行ったところ、抗線維化薬の一つであるピルフェニドンの有効性が期待される結果であった。
さらに詳しく解説(専門的な内容です)
背景
進行性肺線維症(PPF)患者に抗線維化薬であるピルフェニドンを投与すべきかどうかを判断するために、過去の間質性肺疾患に関するシステマティックレビューとメタアナリシスを行った。
方法
2020年12月までにMEDLINE、EMBASE、Cochraneの各データベースで、PPF患者の治療にピルフェニドンを使用した研究のシステマティックレビューを行った。
死亡率、病勢進行、肺機能、有害事象のデータを抽出し、可能な限りメタ解析を行った。
エビデンスの質の評価には、GRADE(Grading of Recommendations, Assessment, Development and Evaluation)ワーキンググループの手法を用いた。
結果
2件の研究が組み入れ基準を満たした。
メタアナリシスにより、
- %FVC(%)の変化[mean difference(MD)2.3%(95%CI 0.5-4.1)]
- FVC(mL)の変化[MD 100.0 mL(95% CI 98.1-101.9)]
- 6分間歩行試験の歩行距離(m)の変化
- DLCOの変化(mmol/kPa/min)[MD 0.40 mmol/kPa/min(95% CI 0.10-0.70)]
- DLCOが15%以上低下するリスク[相対リスク(RR) 0.27(95% CI 0.08-0.95)]
はピルフェニドン群はプラセボ群に比して有益であった。
(GRADE: very low or low)
<まとめ>
進行性肺線維症に対するピルフェニドンのSR&MAの結果、疾患進行の減少および肺機能の維持と関連。