間質性肺炎の診断で重要な外科的肺生検ですが、手術によって肺の組織を採取するため、有益な一方で、侵襲的な検査であることが懸念です。
今回は新たな気管支鏡技術である気管支鏡下光干渉断層撮影(EB-OCT、Endobronchial optical coherence tomography)に関する報告です。
一言解説
肺の組織を気管支鏡下で確認する技術が研究されており、今後は外科的肺生検(手術で肺の組織を採取する検査)の代替手段となる可能性がある。
さらに詳しく解説(専門的な内容です)
背景
間質性肺疾患(ILD)の早期かつ正確な診断は、特に特発性肺線維症(IPF)において予後と治療法を左右する。
現在の診断方法は不完全である。胸部CT画像は解像度に限界があり、外科的肺生検(SLB)は合併症や死亡の危険性がある。
気管支鏡下光干渉断層撮影(EB-OCT、Endobronchial optical coherence tomography)は、気管支鏡と互換性のある低リスクのモダリティで、肺胞以下の肺をミクロの分解能で画像化し、ILD診断における気管支鏡の診断精度を高める可能性を秘めている。
SLBを受けた低確信度のILD患者を対象に、EB-OCTの前向き診断精度試験を行った。
主要評価項目:通常型間質性肺炎(UIP)および臨床診断IPFの病理組織パターンの診断におけるEB-OCTの感度・特異度。
副次的評価項目:ILDの線維化パターンの診断におけるEB-OCTとSLBの一致度とした。
方法
EB-OCTはSLBの直前に実施した。
EB-OCT画像と病理組織は、盲検化された独立した病理医が解析した。
臨床診断は、EB-OCTを盲検化した上で、SLB後に専門医が行った。
結果
31名の患者を登録し、4名は診断困難な病理組織またはEB-OCTデータの欠如のため除外され、27人の患者(男性16人、平均年齢65.0歳)が解析に含まれた。
- 12名がUIPと診断され、15名が非UIPのILDと診断された。
- 平均FVCおよびDLCOはそれぞれ75.3%(SD 18.5)および53.5%(SD 16.4)であった。
病理組織学的UIPおよびIPFの臨床診断において、EB-OCTの感度と特異度はそれぞれ100%(95%信頼区間 75.8~100.0%)、100%(79.6~100%)であった。
また、ILDの線維化パターンの診断では、EB-OCTと病理組織学的に高い一致がみられた(weighted κ:0.87 [0.72-1.0])。
<まとめ>
EB-OCTは、高解像度CTの補完として、またSLBの代替法として、間質性肺疾患の診断のための安全かつ精度の高い検査法である。