新たな気管支鏡技術:気管支鏡下光干渉断層撮影(EB-OCT)

間質性肺炎の診断で重要な外科的肺生検ですが、手術によって肺の組織を採取するため、有益な一方で、侵襲的な検査であることが懸念です。

今回は新たな気管支鏡技術である気管支鏡下光干渉断層撮影(EB-OCTEndobronchial optical coherence tomography)に関する報告です

Nandy S, Raphaely RA, Muniappan A, Shih A, Roop BW, Sharma A, et al. Diagnostic Accuracy of Endobronchial Optical Coherence Tomography for the Microscopic Diagnosis of Usual Interstitial Pneumonia. Am J Respir Crit Care Med 2021;204:1164–79.

一言解説

肺の組織を気管支鏡下で確認する技術が研究されており、今後は外科的肺生検(手術で肺の組織を採取する検査)の代替手段となる可能性がある。

さらに詳しく解説(専門的な内容です)

背景

間質性肺疾患(ILD)の早期かつ正確な診断は、特に特発性肺線維症(IPF)において予後と治療法を左右する。

現在の診断方法は不完全である。胸部CT画像は解像度に限界があり、外科的肺生検(SLB)は合併症や死亡の危険性がある。

光る電球のイラスト気管支鏡下光干渉断層撮影(EB-OCTEndobronchial optical coherence tomography)は、気管支鏡と互換性のある低リスクのモダリティで、肺胞以下の肺をミクロの分解能で画像化し、ILD診断における気管支鏡の診断精度を高める可能性を秘めている。

SLBを受けた低確信度のILD患者を対象に、EB-OCTの前向き診断精度試験を行った。

主要評価項目:通常型間質性肺炎(UIP)および臨床診断IPFの病理組織パターンの診断におけるEB-OCTの感度・特異度。

副次的評価項目:ILDの線維化パターンの診断におけるEB-OCTとSLBの一致度とした。

方法

EB-OCTはSLBの直前に実施した。

EB-OCT画像と病理組織は、盲検化された独立した病理医が解析した。

臨床診断は、EB-OCTを盲検化した上で、SLB後に専門医が行った。

結果

31名の患者を登録し、4名は診断困難な病理組織またはEB-OCTデータの欠如のため除外され、27人の患者(男性16人、平均年齢65.0歳)が解析に含まれた。

  • 12名がUIPと診断され、15名が非UIPのILDと診断された。
  • 平均FVCおよびDLCOはそれぞれ75.3%(SD 18.5)および53.5%(SD 16.4)であった。

病理組織学的UIPおよびIPFの臨床診断において、EB-OCTの感度と特異度はそれぞれ100%(95%信頼区間 75.8~100.0%)、100%(79.6~100%)であった。

また、ILDの線維化パターンの診断では、EB-OCTと病理組織学的に高い一致がみられた(weighted κ:0.87 [0.72-1.0])。

<まとめ>

EB-OCTは、高解像度CTの補完として、またSLBの代替法として、間質性肺疾患の診断のための安全かつ精度の高い検査法である。

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