特発性肺線維症(IPF)において末梢血の単球数が有用なバイオマーカーであることが報告されました。
一言解説
特発性肺線維症では、血液検査で単球数が高いほど、今後の進行や入院、死亡のリスクが上昇する。
さらに詳しく解説(専門的な内容です)
背景
特発性肺線維症(IPF)の予後を予測する簡便で費用対効果の高いバイオマーカーを探すことは急務であり、その可能性を示しているのが単球数です。
研究目的:ピルフェニドンおよびIFNγ-1b試験のプールデータを用いて、IPF患者における単球数と予後の関連を検討した。
方法
この後方視的プール解析は、4つの第III相ランダム化プラセボ対照試験の患者(実薬群およびプラセボ群)を対象とした。
- ASCEND試験(NCT01366209)
- CAPACITY試験(NCT00287729およびNCT00287716)
- INSPIRE試験(NCT00075998)
アウトカムは、1年間のIPFの進行(%FVCの絶対値10%以上低下、6分間歩行距離50m以上低下、または死亡)、全入院、全死亡などを設定した。
結果
本解析では、単球数で層別化した2,067人の患者を対象とした
ベースライン時の単球数
- <0.60×10の9乗個/L未満[n = 1,609]
- 0.60~0.95×10の9乗個/L[n = 408]
- 0.95×10の9乗個/L以上[n = 50]
調整後の解析では、単球数が 0.60~0.95 × 10の9乗 個/Lまたは 0.95 × 10の9乗 個/L以上の患者と0.60 × 10の9乗 個/L未満の患者では、
- 1年間のIPF進行(それぞれ P = 0.016、P = 0.002)
- 全入院(それぞれ P = 0.030、P = 0.003)
- 全死亡(それぞれ P = 0.005、P < 0.001)
が高い割合で発生した。
ベースラインからの単球数の変化は、1年間のどの転帰とも関連せず、試験治療による影響もないようであった。
<まとめ>
IPFで単球数の高値は、IPFの進行、入院、および死亡のリスクの増加と関連していた。