SLBとTBLCの病理UIP所見の一致率(COLDICE試験の後解析)

肺の新たな生検方法である経気管支肺凍結生検(TBLC)について、COLDICE試験の後解析が報告されています。
Cooper WA, et al. Cryobiopsy for Identification of Usual Interstitial Pneumonia and Other Interstitial Lung Disease Features. Further Lessons from COLDICE, a Prospective Multicenter Clinical Trial. Am J Respir Crit Care Med 2021;203:1306–13.

気管支鏡で肺の組織を調べるための新たな方法である経気管支肺凍結生検は、従来の手術と比べて、重要な肺の組織所見をある程度反映することがわかった。

さらに詳しく解説(専門的な内容です)

背景

経気管支肺凍結生検(TBLC)は、間質性肺疾患診断のための新たな技術である。COLDICE試験では、TBLCと外科的肺生検(SLB)の病理組織学的一致が良好であった。

研究目的:通常型間質性肺炎(UIP)を予測するTBLCの特徴を明らかにし、生検の一致を予測する臨床指標を明らかにすること。

方法

COLDICE試験は、TBLCとSLBの診断的一致を調査する多施設共同前向き研究である。参加者は、国際的なガイドラインの基準を適用し、盲検化された病理医によりTBLCとSLBの両方の検体が評価された。

ペアになったSLBにおけるUIPを予測するTBLCの特徴、および全体の一致度を予測する特徴を分析した。

結果

COLDICE試験には65例(66.1±9.3歳、FVC 84.7 ± 14.2%、DlCO 63.4 ± 13.8%)の患者が参加した。

SLBでUIPは33/65(50.8%)で認め、81.5%がTBLCのUIPと一致した(κ 0.61; 95%信頼区間[CI]; 0.38-0.77)。

UIPガイドラインの基準である「predominantly subpleural or paraseptal fibrosis」はTBLCではほとんど認められなかった(8/33、24.2%)。

「patchy fibrosis(散在性の線維化)」
「fibroblast foci(線維芽細胞層)」
「absence of alternative diagnostic features(他の疾患を想起する所見なし)」
はTBLCで頻繁に観察され、これら3つの特徴の組み合わせは、SLBにおけるUIPを強く予測した(オッズ比[OR]23.4; 95%CI 6.36-86.1; P < 0.0001 )。

TBLCサンプルの数が多いほど、SLBと病理組織学的所見は一致した(OR 1.8; 95%CI 1.08-3.01; P = 0.03)。

不一致の予測因子は、高齢、家族歴あり、および画像的な非対称性であった。

<まとめ>

病理UIP所見はTBLCとSLBで約80%が一致し、TBLCの診断精度は採取する検体数を増やすことで向上した。

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