検診などでたまたま偶然発見された肺の間質の異常陰影をILA(interstitial lung abnormalities)と呼んでいます。
Salisbury ML, et al. Development and Progression of Radiologic Abnormalities in Individuals at Risk for Familial Interstitial Lung Disease. Am J Respir Crit Care Med 2020;201:1230–9.
環境曝露はILAの独立した危険因子でした。また、登録時に早期ILAが検出された人の多くで5年間でILAが進行することが明らかとなりました。
さらに詳しく解説(専門的な内容です)
背景
進行性肺線維症の前臨床自然史は十分に理解されていない。
研究目的:HRCTスキャンにおけるILA(interstitial lung abnormalities)のリスク因子を特定し、家族性間質性肺炎患者の自己申告による非罹患第一度近親者の縦断コホートを用いて対象者の間質性肺疾患(ILD)への進行を判定すること。
方法
登録時の評価として、健康歴と曝露に関するアンケート、HRCTスキャンを行い目視評価によりILAなし、早期/軽度ILA、広範なILAに分類された。
研究エンドポイント:ILAが広範囲に及ぶ場合、または臨床的にILDと診断された場合
5年間の追跡HRCTを完了するのに十分な研究時間を有した被験者において、ILDイベント(エンドポイントを満たしたか、画像的にILAが進行した)の発生比率を算出した。
結果
336名の被験者の平均年齢は53.1歳(SD 9.9歳)であった。
ILA(早期/軽度[n = 74]または広範囲[n = 3])を発症した者は、高齢で、喫煙歴があり、末梢血単核細胞のテロメアが短く、MUC5Bリスクアレルを保有している可能性が高いことが示された。
- 自己申告によるアルミニウム製錬、鉛、鳥類、カビなどの職業的または環境的曝露は、ILAと独立して関連していた。
十分な試験時間を確保できた129人の被験者のうち、25人(19.4%)が登録後5年までにILDイベントを発症(12人は試験エンドポイントを達成、13人はILAの画像的進行)した。
ILDイベントは、登録時に早期/軽度のILAを発症した人に多く見られた(63.3% vs 6.1%、P < 0.0001)。