診療データベースを用いて、本邦のIPFの有病率が初めて報告されました。
一言解説
IPFの日本の有病率は、人口10万人あたり27人、推定患者数は約3万4千人。
さらに詳しく解説(専門的な内容です)
背景
特発性肺線維症(IPF)は、線維化が進行し、予後不良の慢性間質性肺炎である。欧米では相当数の疫学研究が行われているが、日本では、1県の臨床データ(2003~2007年)を用いてIPFの有病率(人口10万人あたり10.0人)を報告した研究があるのみで、IPFの全国的な有病率は不明なままである。
研究の目的:全国規模の診療データベースを用いて、日本におけるIPFの有病率を推定すること。
方法
メディカル・データ・ビジョンが提供する日本の診療データベース(MDVデータベース、2008年4月~2019年3月)より、急性期病院385施設の患者約2800万人分のデータを抽出した。
2017年4月~2018年3月のIPF患者(IPFと1度でも診断された者)をMDVデータベースで確認した。
MDVデータベースの患者数を第4回NDBオープンデータ(2017年4月~2018年3月)を用いて全国規模で推定し、人口統計データを分母として有病率を推計した。
また、同じIPFの定義を考慮した米国での有病率を算出し、日本での有病率と比較した。
結果
MDVデータベースにおけるIPF患者数は4278人であった。日本における全国の推定患者数は34,040人(平均年齢73歳、男性73%)、有病率は人口10万人あたり27人と推定された。
米国との比較では、有病率は75-79歳までは男性は同程度で女性は比較的低く、80歳以上では男女とも顕著に低かった。
<まとめ>
診療データベースを用いて、本邦で初めてIPFの有病率が明らかとなった。
(最終アップデート:2022年5月25日)